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ケンカ・礼於side
ーークソ、来るんじゃなかったな…
始業式に誰も俺が登校してくるとは思ってなかったんだろう。校門を潜る前から周りの視線がウゼェ。「うわ久遠今日来たのかよ…」という囁き声が聞こえ、睨みをきかせると一同にサッと顔を背けた。ビビリが。
ここで帰るのもカッコつかねえから式にも出る(クラスの奴らだけじゃなく担任にも距離を取られた)。ハタから見たら真面目なヤンキーだな俺…。
しかしだりぃ。ミナセのお陰で面倒な目に遭ってんな…と、そこまで考えて我に返る。
そうだ。
本当に今更だが、何で俺はアイツに振り回されてんだ?アイツが子犬っぽいからか?頑固で面倒臭ぇからか?それだけで俺はクソ真面目に学校来てんのか?
頭湧いてんのか俺。ヤンキーだろ?何に対しても従わねえって決めただろうが。信じられるのは自分だけだって知ってんだろうが。
何やってんだ…クソだせぇ。
大きな舌打ちをして(隣の奴がビクッとした)、ハゲ校長の演説の中ひとり体育館を出る。担任の形だけの声が追ってきたが無視してそのまま学校も出た。
伸びをして街に向かう。適当にぶらついて、腹が減ったからファーストフード店に入った。
…ついでにここで昼寝するか。
注文品を受け取ると二階席に上がり、バーガーを三口で平らげる。ポテトとコーラもあっという間に無くなり、腹が満たされた俺は欠伸をした。さて寝るかと、体勢を変えようとしたーーが。
「久遠じゃねえか。こないだは世話になったなぁ」
いかにもガラの悪い奴らに囲まれる。
誰だこいつら、と思ったら数日前(ミナセに初めて会った日)シメた他校生だ。「礼をしねえとな…」と指を鳴らす絆創膏だらけの顔の馬鹿に、懲りねえなとある意味感心する。あ、馬鹿だから学習しねえのか。
だが丁度良かった。なんかモヤついてたからな。「いいぜ」と不敵に笑い立ち上がる。
「たっぷり付き合ってやるよ…雑魚が」
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