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ケンカ3・睦月side

レオくんの言う通りだった。 僕はただ一人の子供として、地元では集落の皆に大事に大事に育てられてきた。 火の点いたヤカンに素手で触ろうとするとか、危ないことをすると当然叱られたけど手を上げられた事なんて一度も無くて。 だから、叩かれて。 情けないけど、放心してしまった。頭の芯が痺れたようになって動けなくなる。 すると僕を叩いた男の子が、いきなり視界から消えた。 『えっ?』て思ったら、目の前に右拳を突き出したレオくんがいて、ぎこちなく左を見ると男の子が吹っ飛ばされていた。速くて見えなかったけど、たぶんレオくんが男の子を殴ったんだと思う。 レオくんは。物凄く、怒っていた。 その様は全身を逆毛立たせたライオンみたいで、倒れている男の子の傍までいくと無言で胸ぐらを掴んだ。無理矢理起こすともう一発殴り付ける。 再び倒れた男の子を蹴り、壁に額を打ち付けーー馬乗りになって殴る。何度も何度も、殴る。 僕はボーッとそれを見ていた。 何だか現実味が無くて、映画の中にでも迷い込んだみたいだった。 だけど。 「お、おい…誰か止めろよ。あいつ死んじまうぞ」という、男の子達の誰かの声に我に返る。 死ぬ? え?あの殴られてる子? え? え、そしたら、 そしたら… レオくんがお巡りさんに捕まっちゃう…? 大変だ!!! 「レオくん!!ってうわぁ!」 ビッタアアアアン!!!!! レオくんを止めようと走りかけた僕は、またも靴紐を踏んづけて転んだ。 コントじゃないんだから、僕…

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