31 / 61
第四章◆血ノ奴隷~Ⅷ
特異血種である者同士、あるいは魔物にしか嗅ぎ取れない魔ノ香 。
中でも、フェレンスの血は格別に芳 しい ... ...
深く息を吸い、カーツェルは思い耽 った。
主人の私室を前に佇 んでいたところ。
気を静め入室をと、手を伸ばした時だった。
気配を感じ廊下の角を見やると、まっさらなシーツを腕に掛けたメイドが現 れる。
「あ、カーツェル様 ... 」
リリィだ。
姉と同様に赤味の強いブロンズのストレーヘアを三つ編みし、
肩口から手前に垂 らした娘の姿を好む精霊。
彼女は言う。
「あの ... わたくし、旦那様の寝室を整 えにまいりました」
「どうぞ、先に済ませて下さい。気遣いは無用です」
「あの ... でも、わたくし ... 」
何処 か余所々 しく視線を泳がせる彼女は、息を飲むようにして言葉を詰まらせた。
そのように見えたのは、お互い様かもしれない。
「あちらこちらと、まだまだ手の行き届いていないお部屋があって!
ですから、あの ! ... カーツェル様、お手数ですが、お願い致しますわ!」
長年のメイド役が、新参の執事役に仕事を押し付ける図。
この屋敷では割とよくある事だった。とは言え ...
常日頃、手入れを怠 ることの無い彼女が言うのだ。
シーツを差し出してきた手元を見て、カーツェルは思う。
無用だと言っているのに ... ...
「仕方ありませんね ... であれば、ここは引き受けました。
旦那様のお気が休まるよう、他も丹念 にお願いします」
多少、引け目を感じたが、リリィの微笑みに救われた。
「お掃除は済ませてありますわ。
行き届いていない箇所がありましたら、お申し付け下さいませ」
「分かりました」
両腕を真っ直ぐ前に降ろし手を平たく合わせると、一つ礼をし歩いて戻る。
彼女を見送る間に受け取ったシーツを腕に掛け、カーツェルは向き直った。
メイド役のあいだでは、もっぱらの噂 。
「カーツェル様ったら、旦那様がよくお見えになるお部屋ばかり見巡 って。
それは分かるけど、時々 ぼーっとしてるのよ?」
「仕方ないわよ。旦那様がお帰りになったら、何と仰 るかしら」
少年相手に洋服選びの押し問答をしたリリィとマリィは抜きにして。
散らかしっぱなしだった部屋の片付けに勤 しむ二人が言うと。
会話を聴いていたロージーが加わり、妙な想像が膨 らむ。
「あたし達でさえ気になるものねぇ~~ ♪
ぁぁ ~ ♪ どうしましょ ! お帰りになって早々、お二人が喧嘩でもしはじめたら ♪」
建て付けのクローゼットを整理しながら、一々、胸元に手を引っ込めては、握々 。
「「「 キャ ―――― !!」」」
まぁ、あり得 なくはないが。
「あのメイドどもは ... いったい何を期待してんだか ... 」
悲鳴なのか歓声なのか分からない声を聴いて、思わずツッコミを入れたくなるローナー。
呆 れ顔の彼の横では、見張り役の二人までもが同じ話題で盛り上がっていた。
「ちょっとした夫婦喧嘩が見られるかもなぁ」
「え、でも、ちょっとで済むのかな ... あと、夫婦って言うけど、どっちがどっちですか !? 」
比較的、大人しい性格をしているソードが何故 か楽しそうに尋 ねるので、
隣り合わせのアックスと様子見に訪 れていたローナーの心境 は複雑である。
え ... つか、何、お前。〈そっち系〉の 話、好きなの ... ?
更には、連中を呆然 と眺 めるマリィの背に哀愁が漂 う始末。
「ヤメテ ... ヤメテ。ホント ... みんな、お願いだから ... もう少し真面目に仕事しなさいよ ... 」
厨房 の勝手口から一歩出てみると、それぞれが丸見え。
叱 りつける気も失せた。
そんな一同を他所 に、窓際に置かれた椅子に膝 をついて乗る少年は、静かに待つ。
後ろで騒 ぐロージー等 の会話にも関せず。
庭と、その向こうの街並みとを交互に見下ろしては、窓の隙間 に鼻を寄 せ スンスン と息を吸い。
何かを探 っているようだった。
本来ならば国の管理下に置かれるべき、特異血種の持ち主。
彼らの血は時に... 〈魔薬〉と呼ばれる危険薬物の原料として、高値で裏取引される。
厳重な取り締まり体制にも関わらず、被害者が後を絶たないのだ。
心身に快楽を齎 す他、常用者を狂わせるに至ると言う。
その効力に影響を与えるのは、より強い魔力に、より多く含 まれる瘴気 。
ところが、先の件あって気付いたことがある。
フェレンスの血にはそれが無い ... ...
だから、そのものを口にした時でさえ、
意識が飛ぶことはあっても、正気を失わずに済んでいたのだ。
純正の魔力を生み成す彼に甘んじ。
いざ未精製の血に晒された際 、己を見失ったことを熟 恥じる。
主人の私室に立って暫 くした後 。
リビングと書斎の隔 てを更に奥へと向かうカーツェルは、
やがて両開きの扉を押し開いた。すると、そこは寝室。
手前の二間を合わせたくらいの広々とした空間は、
アンティークブルーの中でも特に濃い色調で統一されていた。
厚めのドレープカーテンで仕切られたキングサイズのベッドの手前。
寝室の一部として上部に組まれた天蓋 を見れば。
深い、深い ... 海の底から見上げているような気分になる。
主人の留守の間 、掛敷 等の寝具はクリーニングし他所 に収納している模様。
スプリングの高さはカーツェルの腰 付近まであった。勿論 、備え付けの足場はスライド可。
真新しいシーツの端 を持ち、高々と放り掛けると。
一旦、手袋を脱いでマットレスの合間に丁寧に入れてやり整える。
そうして、枕元へと手を伸ばした時だ。
仄 かに香る。
気付いたカーツェルは身動きせず。深呼吸を繰り返した。
たかが数日、会っていないだけなのに。
胸の奥底から静やかに、それでいて沸々 と湧 く ... この感情は何だ ... ?
随行員 として任命されたことを理由に同行し。
一年ほど寝起きを共にしてきたかと思う。
魔物を相手に戦うことも日常化。そんな日々が当たり前になっていたので。
いつの日かこの世を去るその時まで ... それが続くものだと。
覚悟なんかとっくの昔から出来ていたし。後悔した事も無かったのに。
今のこの状況が、只々 、不満だ。
――― 必要としているのは、俺だけなのか ... ...
昔から何も変わってはいない。
「 ... ... フェレンス ... ... 」
フェレンス ... フェレンス ...
呼吸に、彼の名が交 じる。
ベッドに染み付いた魔ノ香 を少しでも近くで。
そう思うと居た堪れず。遂 には枕元に伏 す。
胸の奥の得体の知れない欲求を鎮 めるには ... 残された気配に縋 るしかなかった。
彼を手に入れようとする者は多い。
精製も無しに純正の魔力を生みだす錬生体 。
まず初めに彼の持つ特性に気付いたのは皮肉にも、
血で血を洗う戦を引き起こした彼ノ尊 である。
彼と血で結ばれていた竜騎士にも見通せなかった可能性が、彼の内には秘められているのだ。
「そう ... 彼が担 っていた役割よりも遥かに、
彼の存在そのものが特殊なのだ。我々は彼を取り戻さなければならない。
君が天命を全 うしてくれることを期待しているよ。アシェル ... 」
各区を支え聳 える塔の一角。
他所へと渡る階橋 の端に立つ黒革のジャケット姿を見送った後 。
男が乗る車両は向きを返し、塔内部の闇へと消えていった。
一方で、塔の壁面を蹴って身を翻 し着地する。
男の砂色の金髪 が顔の前に流れた時。
見 える瞳が紫炎を宿し鋭く光った。
そしてまた、ある時。少年は言う。
「 ... ァ ... シャマ ! キ、タ !! ソコ ! シャマ ー ! 」
屋敷内に緊迫した空気が流れた。
聞いていたロージーとメイド役をはじめとし。
精霊同士は疎通して、それぞれ衣服に乱れがないか見て正す。
カーツェルは脱ぎ置いた手袋を手に、その場を後にした。
その頃にはすっかりと整った様子のベッド。
部屋を出て、一度だけ深呼吸をすると。
意気を胸に据 え、彼は行く。
夕映えを ギラリ と弾く瞳からは、強い覚悟が伺えるよう。
時を同じくして。屋敷の周辺に設置された検問の内一箇所におき、
黒塗りの公用車と護送車の二台が、一時停止後、通過する。
警備のため追行 していた数台は路肩に寄 り停車。
遠巻きながら撮影を試 みる報道衆には目もくれず。
居直 ったアレセルは、紫紺のローブを手に取り移動した。
正門を前に、公用車への乗り継ぎが行われる中。
数名の要員は特殊車両を預かり、その場で待機。
静々 と乗り換えを済ませたフェレンスに続き、同乗したのはアレセル只 一人だった。
実のところは、無言で乗り口を塞いだ手に、乗車を拒 まれた次第。
刑務官の二人は訝 しげに見合わせるも、頷 き引き下がる。
「職務に反するが、問題にはならないか?」
一人が問えば、また一人が言い包 める慣習 。
「なるかもな。逆らえばの話だ」
なるべくは関わらない方が身のためと。
一言で誰もが納得した。
それが、異端ノ魔導師に絡 む世情の闇。
迷い込み、足を取られた末に沈んでいった者の噂 は数限りない。
その中に、軍警副総監たる公爵家当主 ...
〈フォルカーツェ・L・ディート・ランゼルク〉の実父 が名を連ねると聞けば尚更 に。
「多少、秘密が漏れたところで、困る関係者はいません。
人々が知ることになるのは双方により操作された情報だけですから。
けれど、彼等のように何も知らない者の命が危ないのです ... 」
「その点、君だけは何をしても免れると?」
「ええ、そう。貴方様に捧げた〈これ〉により、鼓動で結ばれる僕は ...
異端ノ魔導師の命を盾に、当事者である貴方様 の身の振り方さえ制限可能なのです」
自らの胸に手を当て、アレセルは言う。
「いっそ ... 卑怯者と罵 って下されば ... 」
「いいや。アレセル ... 君を生かしたのは私。
生かさねばならぬと、中枢の〈記憶〉がそう告げていたからだ。
そんな君が判断した事なら、私の理解を超えていようと問題にはならないはず」
「 ... 僕は、貴方様のお気持ちを聴きたいのです ... 」
フェレンスは瞳を閉じ、こう答えた。
「 ... 君の、思うままに生きて欲しい。
〈記憶〉に縛 られる私であっても、君なら活 かしてくれると ... 信じている」
成 すべきを成す。そうする事が必ずしも救いに繋がるとは限らない。
私に与えられたのは叡智 という力のみ。
導き手には成りえないのだから ... ...
胸を突く言葉だった。
我儘 を言っている自覚はあるのだ。
フェレンスの事だけを想い、そうしているとは言え。
それは単に、思うままの形にしたいだけという利己主義 であると。
それなのに ...
「きっと、悪いようにはならない。
昔から誰かのためになるよう、突き詰め考え生きてきた ... 君の望むことなら」
その言葉を聞いて、胸の中、一杯になる想いを、その時の彼は口にすることが出来なかった。
間もなくして、車側 が邸宅を向き停車する。
面 を上げ先立つアレせルが、反面のドアを開いたところ。
出 たるは彼 ノ魔導師。
無人であるはずの屋敷だが、黒眼鏡の運転手は何らかの気配を感じて車窓の外を見やった。
噂 の幽霊が何処 からか覗いていたりはしないか。そう思ったのだろう。
しかし、出迎えもないフェレンスに付き添 い歩くアレセルが一瞬、振り向いた際 。
軽く睨 まれ直 ぐ様、顔を背 ける。
一旦役目を終えた公用車は、やがて敷地を後にした。
その様子を背景に、扉の前で立ち止まるフェレンス。
先に出たアレセルが、ゆっくりと開き入ってみると。
程良く暖められた戸内の空気が外に流れるのを肌に感じて察 する。
扉を内側へ引き留 めて立つ彼は、帰宅したフェレンスが歩いて行く背を見ながら、静かに閉め戻した。
すると、視界の端から次々に灯されていくランプの明かり。
ホール中央のシャンデリアは控えめな黒鋼 。
アレセルが見上げている間に、一同は姿を現 した。
フェレンスの影に眠る亡霊 とは異なって、
春野を思わせる暖かな色合いが靄 に交 わり渦巻く中、それぞれ降り立つ。
ふわり、ふわり。
踊るエプロンや衣服の裾を払い、落ち着かせるや否や。
粛々 と頭 を垂 れ、彼らは言った。
「「「お帰りなさいませ、旦那様 ... 」」」
時が緩 やかに過ぎるかのよう。
ところが、視線を下ろすうち。
奥間の方から現 れた男が、フェレンスの正面で向き合う。
その様が遠目に映り込むのだ。
途端 に陰鬱 な心持ちがして、顔に出る。
剰 え、それがアレセルの全身から溢れ漲 るのを想像してみて欲しい。
と、ローナーは思った。
横から差すドス黒い気配を辿って見たメイドの数名が 「ヒッ ... 」 と声を上げる程なのだ。
幹部候補 ともあろう者が、フェレンスの事となるとコレだ ... ...
主人の手前、奴の言いたい事も分かる。だが、しかし。
格付け一位に対して、二位が思うところは、こう。
眼垂 れる相手に対し、見下し顔をする奴もどうかと思うんだわ ... ...
「 お前ぇも人の事ぁ言えねーんだから、
旦那様の手前、その面 やめろってんだ、バカヤローが」
目の前で立ち止まったフェレンスを察し、ローナーが小声で一突 き。
人間の若造と比べたら遥かに年配な分、執事役とも対等な口が利 ける。
致 し方なく深呼吸し、改 め主人と見合う彼は、心做 し躊躇 っているようだった。
ローナーは些 か首を傾げる。
向かいに立つロージーが、彼を ジッ ... と見つめる様子も、いつもと違うような。
その時だ。他の誰よりも驚いたのは、彼。
一歩、二歩と歩み寄り、そっと頬 に触れてきたフェレンスの方が、先に口を開いたのだ。
「顔色は悪くないな。その後、別条は無いか?」
僅 かな間、カーツェルの呼吸が停止する。
同時に何が起きたか。
居合わせた者の多くは、場の空気に亀裂が走り
真っ二つに割れたかのような気不味 さを味わった。
整列した者、皆が皆、アレセルの動きに注意を払う中。
その気配は左列後方を行く。
相変わらずよね ... ...
右列に居たロージーは思った。
矢の如 く、フェレンスの手元を貫 く視線が痛々しい。
声を掛けたところでアレセルが、その一点から目を逸 らすことは無いだろう。
対して気配を背にするローナーの胸の内に何かが引っ掛かった。
違和感 ... ... 凄ぇな ... ...
重苦しい雰囲気に息が詰まるよう。
はてさて、突き放される事に慣れた男は、いつもと異なるこの状況をどう思うだろうか。
何を言われようとも、聴き流すつもりでいたが ... ...
言葉無く立ち尽 くしていたところ。
行き過ぎようとするフェレンスの肩口を目で追うと、かち合う視線。
アレセルが不気味に笑う。
お解りですか ? 貴方が足掻 くまでもないことなのです ... ...
目は口ほどに物を言うとはこの事。
両者の間に立つかたちとなったローナーの額 に冷や汗が滲 んだ。
ところが、カーツェルはと言うと。
意外にも落ち着き払った様子で振り返る。
彼は私室へ向かう主の背に向かい、こう言った。
「旦那様 ... ... よくぞご無事で ... ... 」
そして更に、深々と礼をしたうえ姿勢を留 める。
すると、どうだろう。
主人に同行する管理官を除 き、誰もが青褪 めた。
〈 どうういう意味 ... !?〉
言わずもがな。
そんな彼らの主人はと言うと、気にすらしていないようで。
無反応なアレセルを傍らに足を止めたフェレンスは、応 えるでもなく言い残すのみ。
「先に身体 を流したい。仕度を頼む」
「畏 まりました」
言い付かって直 ぐ。
湯の加減を見ておくようメイド役に指示するカーツェル。
彼が何気無しにアレセルの横を素通りするのを見送った後だった。
その頃になってようやく勘付 いたローナーは、目の前のロージーを ジッ ... と見て腕 を組む。
「やれやれ」
「どうしちまったんだ、旦那様は」
守衛の二人が寄り合い小声で話す様子を背にしながら、追って尋 ねた。
「おい。お前ぇ... 少しゃ説明しろよ」
「そうね、二人共ヤキモチ焼いてるのよ。仕方のないコ達よねー♪」
ああ。 それくらいはな、見りゃ分かるんだわ ... ...
しかし、そんな受け流しでローナーが納得する訳もなく。
「あいつら、何を煽 り合ってた ? 特に管理官までお務 めの... ... 野郎め、何を企 んでる?」
そう言って詰め寄るとだ。
やがてロージーは溜め息を短く切って、伏目 がちに囁 いた。
「さぁ。あたしが知ってるのは、カーツェル様が
闇堕ちする覚悟でお戻りになれたって事だけよ ...?」
「 ... ... 何?」
「あんたも精霊なら、〈闇堕ち〉って言葉が意味することくらい分かるでしょ?
管理官まで任 されちゃったふりして ... 坊やったら、わざわざ旦那様を連れ帰ったんだわ。
それに、あんな素直な旦那様を見せつけられたら、ずっとお傍 に居らしたカーツェル様ですもの。
皮肉の一つや二つ、言いたくもなるんじゃなぁーい?」
あ、そういう事。
ふむふむ、納得した。
ローナーは思う。
... ... なんてな ... ...
「ハハ ... て!! 何っだそりゃ!? 笑ってる場合じゃねーだろうが!!」
「それはあんたでしょ!? て言うか、
無駄に年食ってるジジイのくせに動じ てんじゃないわよ!」
今後の予測がついているらしい使い魔が、この流れをどう捉 えるか。
1階 の騒 ぎを聴きながら階上のロビーにて待つアレセルは、
瞼 を閉じ、目を休ませつつ考えた。
追って現 れたのはリリィ。
遅れを詫 る彼女は、フェレンスの私室にアクセスしやすいよう、
ロビーに程近い客室 を用意済みと伝え、先立ち案内すると言う。
応じ、後に続く傍 ら。フェレンスの私室へと続く廊下を見れば 、
外の吊 り鉢 の元に咲く花々が、夕闇を吸い ... 一層、鮮やかに発光しはじめる時刻。
意識し気にせぬよう努 めてはいたが。
立ち止まり見ていても、フェレンスに付き添 い入室したカーツェルが部屋を出て行く気配は無かった。
ともだちにシェアしよう!