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第2話

その頃の僕は、昼休みになるといつも中庭でパンを食べた後、図書室へ行って時間を潰していた。 図書室はいつも誰もいないし、静かで落ち着く。 眞司は相変わらず人気者で、いつも仲間達に囲まれている。 僕は同じクラスとはいえ、眞司に近付く事もできず離れた場所から眺めているだけで満足していたが…時々無性に虚しくなる。 どれほど眞司を想ったところで、あの輪の中に入る事は絶対、ないから。 そんな時、僕は逃げるように教室を飛び出し、図書室に行って好きな本を読み、現実逃避をする。 頭の中で想像したり、空想するのは自由だから。 …その日もいつものように昼食を食べた後、図書室に行き、好きな本を読んだり空想に浸ったりして残りの時間を潰していた。 その時。 廊下で誰かの話し声と足音がしたと思ったら、いきなり図書室の扉が勢いよく開けられた。 と同時に人の声。 「ほら、ここなら誰も居ない」 丁度その時、読み終わった本を本棚へ返す為、僕は扉から死角になる本棚の陰に居た。 人の声が聞こえ、慌てて本棚の陰から出て行こうとした足は…だが、次に聞こえてきた声に止まってしまう。

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