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第4話
「大丈夫だよ。ボクがこんな人間だって事は生徒会の人間しか知らないから…あ、それとキミと…」
また、クスクスと笑い声。
「生徒会の皆さんは会長の熱烈な信奉者ですからねぇ…」
「そうだよ。よく知ってるね…で、どうする?」
「…そうですね…俺も生徒会の皆さんに目を付けられるのは避けたいですし…セフレとしてなら…ただし、会長が呼び出したらすぐ来るってのは無しで。俺も色々と忙しい身ですから」
「本当に?…後悔はさせないよ。それに、すぐボクに夢中にさせてあげる…」
-濡れた音と、衣擦れの音。
「…今、ここで?」
「いいじゃない。ボクの言葉を証明してあげる。今、ここには誰も居ないし…この後も誰も来ないよ…それとも…自信、ない?」
…僕がここに居るんですけど…。
「…なるほど…さすが会長様ですね。生徒会の役員を見張りに置くなんて…それじゃ誰も…先生でさえ入って来られないでしょうから」
「でしょ…これでゆっくり楽しめるね…ふふ…」
衣擦れの音と、クスクス笑い。
-僕は完全に出て行くタイミングを逸してしまった…。
だが、すぐに。
「…ちょっと、待った」
固まっている僕の耳に、珍しく眞司の焦った声が聞こえる。
「会長、あんた…まさか、俺を抱くつもりか?」
「当然でしょ…僕が抱かれるなんて、有り得ないね。それに…キミがボクに抱かれてどんな風に乱れるのか、見てみたいし」
「止めて下さい。趣味、悪い。そういう事なら、この話はなかった事に…」
「どうして?ボク、結構上手いよ?試して損はないと思うけど…それに、眞司って抱くより抱かれる方が似合ってそうだけど…」
ダンッと凄い音が聞こえて、僕は飛び上がった。
「本当、悪趣味だな…残念ながら、そんな事なら期待に添える事はできないと思います…
俺、誰にも抱かれるつもりはないんで…それに…本当に俺を満足させる事ができると思っているのか?」
「………試してみる?」
会長の上擦った声が聞こえる。
「いいですよ…但し、覚悟して下さいね。俺、女性には優しいですけど、男性には手加減しませんから…」
「…望むところ」
会長の忍び笑いが図書室内に響く。
そして衣擦れの音…ベルトを外す音…濡れた水音…。
(まさか、本当にここで始める気…?)
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