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第28話
「一緒に住むか」
「………………え?」
眞司に指示され引っ越しの手伝いをしている時、不意にその言葉を言われ…思わず聞き返してしまった。
-昨夜、殴られ蹴られ気絶するまで犯されて…まだ、身体に縛られた跡が生々しく残っているし、身体中の節々が痛い…特に身体の中、切れた場所も、奥も、尿道だってまだ痛い。
…微熱もあるかもしれない。
本当いうと…今日はずっと寝ていたい。
だが、今朝早くから眞司に引っ越しをするからと叩き起こされ手伝わされている。
だから…つい、ぼんやりしていて眞司の言葉を聞き逃してしまった。
「だから、一緒に住むかって言ってんの。その方が何かと便利だしな」
「………え……」
「一緒に住んだ方が便利だろ?…尿道も毎晩、開発してやるよ…アハハ…昨夜の優紀、サイコーだったぜ。スイッチ入れた途端、『壊れる~、ちんぽが壊れる~』って叫んで、泡吹いて気絶するんだもんな」
眞司がゲラゲラと笑っている姿を、僕はぼんやり見ていた。
…どうやら、眞司と一緒に住む事は決定事項らしい…。
僕が今、家族と一緒に住んでいるなんて事、眞司の頭の中にはないんだろうな…眞司がゲラゲラ笑っている姿をぼんやりと見詰めながら、僕は家族の顔を思い浮かべていた。
-弟ばかり可愛がる両親。
まるで、僕などいないかのように。
そして、勝ち誇ったように僕を見る弟。
僕がいなくなったところで、何も思わないだろう。
いや、そもそも…いない事に気付きもしないかもしれない。
(…って、家族の事はどうでもいい)
-眞司と、一緒に住む。
今まで以上に眞司の側にいる事ができる。
それは僕にとっては、夢みたいな話だった。
…たとえ、便利に使われるのいるのだとしても。
たとえ、利用されているだけだとしても。
たとえ、金蔓としか思われていなくても。
たとえ…ペットとしてしか扱われなくても。
眞司の側に居られるのなら。
それでいい……………。
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