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第35話

-予感はしていた。 なんとなく、こんな日がくるだろうと。 眞司の態度で分かっていた。 思ったより、早かったけど。 だから、まだ………心の準備も、覚悟もしていないのに……………。 放課後、マンションの部屋へ帰るとテーブルの上に封筒が置かれていた。 その中には、現金と“しばらく帰らない”と書かれた手紙。 (僕は捨てられたのだろうか…?) 手紙を見詰めてぼんやりとそんな事を思う。 (…いや、眞司が僕を黙って捨てるなんて…そんな事…信じない) すぐには信じる事ができない。 (僕はどうしたらいいんだろう…?) 主をなくして途方に暮れた僕は、その場に突っ立っていた。

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