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第41話

(………大きい……) 僕は愛原から渡された眞司の家の住所を書いたメモを片手に、その家を見上げていた。 眞司に会いたい一心でここまで来たものの…思わぬ家の立派さ、大きさに気後れしてしまい家の玄関の前を行ったり、来たり。 『本当に、ボクの代わりに眞司の家に行って眞司の様子を見てきてくれるの?…ありがとう!!』 和巳が僕を紹介する時に言った眞司の友人という言葉を信じているのか…涙を流して感謝の言葉を述べていた愛原の顔を思い出すと胸が痛むけど………。 そして、僕と一緒に行くと最後まで言っていた和巳を思い出す。 眞司には僕、独りで会いたいからと何とか説得してここまで来たけど。 (………どうしよう……) 想像していたより大きな家に吃驚してチャイムを押すのを躊躇い、眞司の家の前をウロウロしている僕。 そんな僕の後ろから、声がかけられた。 「………………誰?」 吃驚して振り返ると………そこには、眞司によく似た男性が立っていた。 「………眞司の友達?」 ニッコリ笑った笑顔も眞司に似ていて優しそうなのに………何故だろう。 寒気を感じた。 「眞司の見舞いに来てくれたんだ?…ありがとう、眞司も喜ぶよ…さ、中に入って」 その人は僕の手首を掴むと、門を開けて中に入っていく。 「…え…あの…いえ…あ…ちょっ…」 いきなり掴まれた手の思わぬ強さと強引さに、戸惑い、口籠もる。 僕の戸惑いに気付いたのか、僕の手首を掴んでいた手の力を緩めて照れたように笑って、頭を掻く。 「…ああ…ごめん、眞司の友人が家に来るなんて初めてだから嬉しくて…改めまして、眞司の兄の保です。さ、早く入って…眞司も泣いて喜ぶよ。優紀君が来てくれたと知ったら」 ……泣いて喜ぶ……。 眞司が僕を見て泣いて喜ぶなんて、想像できないけど、眞司の兄である保にそう言われて少し嬉しくなる。 でも、その時。 ふと、気付いた。 (僕、名前………教えたっけ……?) -僕の背後で家の扉が閉まる大きな音がした。

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