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バイバイー12

-図書室の中はポロポロと人が居て、本を読んだり勉強をしたりしている。 中を見回すと寧音もいつもの窓際の席でいつもの椅子に座り、いつものように参考書を見ている。 その横顔はあの日、昼休みに見た僕の知らない顔で勉強をしていた。 僕は寧音に声をかける事もできず、図書室の戸口で立ち尽くしている。 寧音は、勉強に集中して僕に気付かない。 僕はその場から動く事ができずに、ただ、その場に突っ立って寧音の横顔を見ていた。 その時。 「な~にしてんだよ、こんな所で?」 声と同時に、いきなり後ろから肩を組まれた。 もちろん、こんな事をするのはひとりしかいない。 「………治夫」 「どうしたんだよ、そんな冴えない顔して…あ、さては…振られたな~?」 ………笑えない。 今の僕は治夫の冗談に付き合う気分じゃない。 ……っていうか、冗談になってないし。 「…………………………」 「………どした?」 何も言わない僕に治夫も真面目な顔になり、僕の顔を覗き込む。 「………何でもない」 今の顔を見られたくない僕は、治夫から顔を背ける。 きっと今、僕は酷い情けない顔をしているだろうから。 だが、そんな僕の気持ちなど治夫にはバレバレだったようで。 治夫はチラリと図書室の中、勉強をしている寧音を見て口を開く。 「…あまり気にしない方がいいよ」 治夫は親指で寧音を指差し、話し始める。

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