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バイバイー13
「彼女、この前の小テストの成績が思っていた以上に悪かったらしいんだ…二年の時は成績はクラスでも上位だって言ってたけどさ、特進クラスは成績がいい生徒ばかりの集まりだからね…思った以上に成績が伸びないらしくて焦っているらしいんだ…だから、許してやって?」
…………………………なんかムカつく。
いろいろと。
何故、治夫が寧音の現状を詳しく(僕より)、知っているんだ。
何故、治夫が寧音の気持ちを(僕に)、代弁する。
何故、治夫が僕に謝るんだ。
………寧音の彼氏は僕なのに。
でも、そんな事、治夫には言わないし、言えない。
僕のささやかなプライドだ。
「………治夫は?」
だから、僕は別の言葉を口にする。
「………え?」
驚いたような顔をして僕を見る治夫にもう1度、質問する。
「治夫は焦らなくていいの?」
「……俺?……俺は、ほら、頭いいから。焦る必要ないの」
………確かに。
それはそうだけど。
本当の事だけど。
自分で言うかな。
………やっぱりムカつく。
「そんなに落ち込むなって。勉強なら、俺が教えてやるからさ」
治夫は笑って、僕の背中を平手でバシバシ叩く。
………痛い……っていうか、やっぱり治夫って、バカ。
治夫に勉強を教えてもらってどうすんだよ。
意味、ないだろ。
僕が寧音に勉強を教えてもらっているのは、寧音に会う為の口実に決まってんじゃん!
僕にとっては寧音と一緒に勉強=寧音とデートって事なの!!
治夫に勉強を教えてもらっても仕方ないの!!
「………いいよ、治夫は自分の勉強を頑張れよ」
ガックリと脱力した僕は、治夫の申し出を断った。
「大丈夫だって、俺と隼人の仲じゃないか。遠慮するなって!!」
……………だ•か•ら!!
遠慮なんかしてないっつーの!!
まったく。
気付けよ。
変なところで鈍いな。
………っていうか、僕と治夫の仲ってどんな仲だよ。
「………遠慮なんかしてないから」
それより僕は今、ひとりになりたいんだけど…。
そこんとこ、分かってくれないかな。
「ま、い~からい~から、分かってるって」
………ぜってー、分かってねぇ。
「……そんなに人に勉強を教えたいのなら、同じクラスの奴に教えろよ。喜んでもらえるんじゃねーの」
少しヤケクソ気味に(嫌味も込めて)言ってやる。
「バッカだな、頭いいヤツに教えたって面白くないじゃん。そうじゃないヤツに教えて理解させる事が面白いんじゃん」
……………む。
悪かったな。
頭、よくなくて。
本当の事だけど、他人に言われると腹、立つぞ。
「俺に任せとけば大丈夫だって。絶対、成績を上げてやるからさ」
「大丈夫だよ、俺に任せなさい!!」
……その言葉………クラス替えのテスト前に聞きたかった………。
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