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恋と嘘と現実とー39
…まさか…。
顔から血の気が引き、足が震える。
…僕と千尋の関係に、治夫は気付いている…?
…いつ…?
いつ、バレた…?
…いや、待て。
落ち着け。
まだバレたとは限らない。
…もしかしたら、友人として好きかと聞いているのかもしれないし…。
僕のそんな想いも、治夫の次の一言で打ち消された。
「いくら昼休みに誰も来ないからって、あんな場所でアンナコトしちゃ駄目だよ」
…あんな場所でアンナコト…。
見られていた!?
今度こそ僕の頭の中は真っ白になり、何も考えられなくなる。
治夫が立ち止まった事にも気付かない位、動転していた。
「好きなの?」
「違う!!」
再度、治夫に問われて考える間もなく答えていた。
答えてから気付く。
ここは嘘でもいいから、千尋の事を好きだと答えるべきじゃなかったかと…。
そうでなければ、僕と千尋の関係が説明できない。
…いや、やはり駄目だ。
嘘でも、千尋が好きだなんて………。
そんな事、言えない。
それも…治夫に…。
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