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4-職場
昼休み、生徒に揉みくちゃにされて疲れきった俺は、待ち構えるように休憩室で周りを見回す山本先生を見つけてヤベー適当なこと言っちゃったと思ったのは言うまでもないこと。
「山本センセーお疲れ様です。」
「三橋先生!お疲れ様です!」
挨拶すると輝くような笑顔が返ってくる。朝と変わらず疲れを知らなさそうな顔に逆に気力を吸われるような気がする。
早く家帰ってエッチしてぇなー。
愛しいわが家のAVが流れた状態の大画面テレビとかお楽しみボックスという名のダンボールの中身を脳内で物色する。
「中休みは忙しかったですか?…あの、ゴハン一緒に食べたいんですけど…いいですか?」
「いいよ」
ズイと差し出された紙コップのコーヒーを受け取り啜る。うんウマイ。そうだ、今日は乳首にしよう。
そこで弁当を持ってきていないことに気が付く。教員は予約すると弁当を買うことができるのだが、今日は朝からバタついていた上に普段コンビニなんかで適当に買っているので忘れていた。
「やべ。ちょっと昼飯買ってきますね」
「あ、俺の多いし食います?」
「えっいや、その、悪いですよ」
何を言い出すと思って相手の顔を凝視すると、ゴソゴソと鞄の底からデカイ弁当包みを出してくる。
「いっつも持ってきすぎちゃうんですよ。夕飯の残りの詰め合わせですけど」
「うぉ、スゴイですね」
何やらタッパーが積み重なって体積が大きく見えたらしい。いや実際多いのだが。浅めのタッパーに所狭しと詰められた唐揚げ、また別のタッパーに詰められた白米、あとの1つはこれまた量の多いポテトサラダ。
そういや昨日夕飯食ってなかった。中学男子の好みそうなラインナップに思わずゴクリと喉がなるのを見ていたのか否か、山本先生は早速白米のタッパーを半分空けて唐揚げとポテサラを詰め込みだす。
「す、すみません…恐れ入ります。今度ごはん奢らせてください…」
正直腰怠くてあんま動きたくないしスゲー助かる。割り箸までつけてもらって完全にひれ伏しながらお礼を言うと山本先生は頭を掻いて照れる。
「あはは、別に大したことしてませんよ。そうですね、じゃあお言葉に甘えて」
あれ、朝断ったのになんでメシの約束取り付けてんだ?
俺おばか?なんて気付いたのは帰宅してタッパーを洗った後だった。
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