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8-媚薬
「ん…ん、っ…ふぅ…、ふぅ、…」
そこで思考は中断される。一度忘れていた熱がジクジクと体内で渦巻いてたまらなくなる。
頭の芯まで痺れて、吸い込まれるように指をまたひくつく尻穴につっこんで無茶苦茶に刺激すると、もどかしげに体がくねって勝手に涙があふれる。
俺の細い指じゃ、ダメだ、全然、足りない。
「ああぁぁ……あ、あっ、う、ん、っん、ううっ…!」
ドンという音が鳴る。ドン、ドン、ドンドン。激しい音。テレビがついていない、なるほど。お隣さん、ゴメンナサイ。
「ひーーーッ…!ひぃ…ぐッ!〜〜〜ッッヒ!!ッッ゛」
指が前立腺を撫でる。腰がバラけるんじゃないかってくらい痙攣して精液を出さずにイく。目を見開いて、余韻が長く続く間指をギチギチに締め付ける。
指とまらない、指先が前立腺を挟んで揺らす、体が反り返って意識が浮いたり消えたり、ケツきもちいい、でも、おもちゃ、と、ちんこ。ちんこでガツガツ犯して、俺を犯して。ドンドンするカベ。ゴメン。
いつのまにかお楽しみボックスの所まで辿り着いていた。目の前がチカチカして訳がわからない。太いヤツが手に当たったから力任せに引き抜き尻に挿れてグチャグチャにピストンする。
「あーーーッひぃぃんんんあああひッ!!ッ!!あ゛あ゛ぅ゛ッ!!」
きもちいい、先っぽとがってんのこれ、ゴリゴリすんのイイ、きもちいい、すき、あーーー、あ、あ、イク、イク。
ブチュ、チュという音がして、尻の中に冷たいものが広がった。挿れたのはローションのボトルらしかった。人工的な甘い匂いが香ってくる。抽挿していたものが急激に萎んで、尻からビ、ビュとローションが垂れる。一緒に中から押し出されたキャップを回収してボトルの口を締めて、と、そこで中を埋める物が無くなり禁断症状のように体が冷たく震える。
ちんこ、ちんこ、ちんこ、ちんこ。ガチャガチャと段ボールをひっくり返して、目についた太いものを挿れる。
きもちいい、きもちいい。生まれる快楽がガラスの破片になって体に突き刺さって、自覚するより先に射精する。同時に体の内側もゴウゴウと唸りを上げて絶頂する。ぐらぐら。死んじゃう。たすけて。
翌朝気が付いた時、尻には最初に選んだ凶悪なバイブが動き回っていた。尻や性器は赤く擦れて血が滲んでいた。
家のどこもかしこも白っぽいシミが付着している。惨状から目を背けつつ、しかし、昨日のような衝動は持続していない様子。
あくまで薬の効果ってことか。クソ。
節々が痛い体を持ち上げシャワーを浴び、スーツをなんとか着用して、出社した。
媚薬の瓶は、物置き部屋の奥深くへしまいこまれた。
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