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9-ディルド2
あの変な薬のおかげで俺は、毎晩の日課を一時休止するほかなかった。
最悪、発情期まで誘発されて一週間家に引きこもることも覚悟していたのに、出勤してもフェロモンのことは特に何も言われなかった。あの時の症状は擬似発情期、みたいなものだったのか。思えば一晩で嘘みたいに欲情が消えていた。
それでも声はカスカスだわケツは中も外も傷ついて痛いわ、息子も赤くてシコれたもんじゃない。風邪ひいたって職場では誤魔化してなんとかなったが、あんなのはもう御免だ。今度こそ無断欠勤してバレてクビになってしまう。
そんなわけで、今夜は5日ぶりの自慰。念には念を入れての5日間。正直3日目にはイケるかなと思ったけどね。
ワクワクがとまんねーぞ俺は。風呂に速攻入って、5日ぶりのお楽しみボックスのお目見え。パンドラの箱となっていたこのダンボール箱も、ようやく解禁だ。
色とりどりな箱の中身を愛しげに撫でていく。はははは。笑いがとまんねー。宝の山だ。やっぱコレがないとな。コレが。
もちろん、さわる前からちんこはギンギン、ケツも濡れているという具合。
強制的に発生したオナ禁後に、何をするかは少し前から決めていた。
亀頭が連なったような形状の、長めの黒いゴム製のディルドを選び、まずそれをお湯に浸して温める。
その間にテレビの電源を入れる。この前隣人に壁ドン食らったし気をつけないとな。そして後孔を手早くほぐす。
お湯からほどよくあったまったディルドを取り出して、吸盤で床に設置。そして、耳栓と目隠しをする。
したかったのは五感のうち、視覚、聴覚を塞いでのアナニーだ。
五感が塞がれていると、他の感覚が鋭敏になるのだ。
久々だしやっぱり、しっかり感じたいよな。
目と耳を塞いだとはいえ、慣れた家の中のため不安はない。床スレスレを手探りで探していると、ゴム製のそれに指先が触れた。にじり寄ってディルドの上に膝立ちみたいな体勢でまたがり、ツルリとして少ししなっている尖端を支えつつ、孔に擦りつける。ホンモノみたいとまでは言わないが、あたたかいものが後孔を滑って、それだけで期待で息が上がってしまうのを落ちつけて、慎重に腰を落としていく。
「あ……、はぁ…はぁ…」
ボコ、ボコ、と亀頭のくびれごとに衝撃が走って腰から力が抜けそうになる。ひとつひとつが凶器のようで、腹に無意識に力が入ってディルドをギュウギュウに締め付けてしまう。形がそれで一層ハッキリ感じて、気持ちよくて動きが更に鈍くなる。
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