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10-鉛筆
『ココ、濡れてるじゃん。期待してんの』
『はあっんぐ、そんな、こと…ああッ』
新入部はΩだったらしい。指を尻穴に入れられるアップのカットの後、抜かれた指が糸が引く様子が映る。
『生まれつきインランな人種だからなぁ、ホラ。欲しいって言えよ』
『あっあっほしい、いれてぇ』
指が増やされながら新入部員の尻を出たり入ったりして、その間に新入部員は何回か寸止めされる。ずぶ濡れの穴とか淫猥に揺れる腰が映って、そのあと泣きそうに歪んでる顔がアップになる。
「あー、ん、んー…」
俺の手コキも本格化してきた。亀頭を手のひらの上で転がして、裏筋にうまく擦れるように速度を上げて扱く。
AV見てる人って、受ける側に自分を重ねて興奮する人と、人の体見て興奮する人がいるんだっけ?
俺ね、前者ね。だからすげー今犯されたくなってる。
ああでも、ケツ弄ってる俺ってこんな顔してんのかな。
下に視線を移すと、扱く手に隠れて控えめにスラックスの隙間から覗く塊。
どんなに興奮しても、結局ガチガチにはならないのがΩクオリティ。流石に寸止めしまくるとかコックリングつけたらまた別だけどね。仮にも男としては、情けねえったらねーよな。
『あ、あ、あああぁぁっ』
「んん……っ」
少量吐き出された物を手で受け止める。
『まだ付き合えよ!オラ!』
『やらぁ、やっ!もうイッたからあ、ああぁ』
ビデオはまだ続いていて、部室のベンチに縋り付いて喘ぐ新入部員。
ティッシュを引き出し、手を拭く。
ウーン。なんか微妙だな。
先程までは興奮材料でしかなかった喘ぎ声が煩わしくなってテレビの電源を落とすと、痛いほどの静寂が訪れた。
普段気にもしたことがない壁掛け時計の音が、室内に響いている。
しばらくソファーにもたれかかって放心する。
ああ、わかった。賢者モードか。
最近尻ばっかり触っていたもので、ド忘れしていた。そうか。ケンジャか。
「……」
あー、眠いな。寝よう。ケダルイし、ねむい。
ベリっとナプキンを剥がすと、ふつうに湿っていた。まあ、ちょっと興奮したしな。ちょっとだけ。
布団を被ると驚くほど早く眠気が増した。
目をつぶったら夢の中。
あしたはもっといいことしようね、ケツタロー。
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