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15-前兆
次の日、寝坊した。
起きた瞬間異変に気がついた。体が重く、熱っぽい。
間違いない。発情期の前兆だ。
「…」
ベッドの上で布団を巻き込んでゴロゴロと転がる。
だいたい前兆が起こると遅くて明後日、早ければ今日中には発情してしまうのだ。
着替える気も食欲もいっぺんに削げる。ダルい。なんもしたくねー。
しかし、ただダラついているだけなのは性に合わない。
そして、相反するキモチの行く先は、エロと相場が決まっている。エロイコールピース、すなわち世界平和なのだ。
いつもなら絶対やらないが、この時間から尻に手を伸ばす。
軽く前を触ってから寝巻きをずらして、尻の割れ目を露出させる。
「ん゛ん…」
うつ伏せの状態で穴に中指だけを詰め込むと、低く呻き声が出る。あんまり濡れてなかった、マズった。
傷つけないようにバカに緩やかな動作でそのまま挿れていくと、柔らかいナカはみっちりと指を奥まで咥えこむ。
そのまま少し待った後、指をゆっくり出したり入れたりを繰り返す。
この時点ではまだぜんぜん気持ちよくはない。
もっとエロい気分になるのを、じっくりと待つ。
「はー…。…」
暫く続けていると、ケツから、ヌチ、クチ、と小さく音がしはじめた。
腰もピクッと勝手に浮き上がったりする。
うん、良い。これはイイ。ヨくなってきた。布団にくるまったままだと、あったかくて眠気が程よくて、赤ん坊になったような気分になる。
不意に、鈍く痺れはじめた頭に衝動が湧き上がった。どうしてもお楽しみボックスの中身が目の裏にちらつく。
遺伝子に刷り込まれた生殖本能っての?俺の細い指一本では物足りないらしい。意識すると一層腹の奥が疼く。
ベッドから少し歩けば、おもちゃ箱には簡単に取りに行ける。
どんなディルドもバイブもなんでもござれ、俺のインランなおしりちゃんも満足。それに、今なら一回指を抜いても簡単に再熱するだろう。
でも、取りにはいかない。
めんどくさいってのもある…ケド、発情したら飽きるほど使うことになるからな。今は、ケツを労わるべし。
つーことで、指は増やさずにそのまま、掌の各度を変えたり、指を曲げてみたり、まったりと着実に絶頂まで登っていく。
「…あ…んあ…っ……あー…あッ…」
バクバクと心臓の音が頭の中で響き渡って、呼吸が乱れる。
そろそろガマンの限界だ。エッチしたい、してるけど、したい、シタイ。
片腕で布団をかき抱く。
さっきから、いつイってもおかしくない。感度がかなり高まってきた。
布団に顔をうずめて獣のように唸る。涙が滲んで、布団に染み込んでいく。
火照って、ぐずぐずに蕩けた腰を、手応えのない羽毛布団に押し付けて振りたくる。
だから、チャイムが鳴ったことに気がつくまで少し時間がかかった。
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