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鍵は掛けてあるけど、誰が突然入って来るかも分からない。
扉の向こうは絶えず人が行き交ってるこんな場所で、さっきまで観客やスタッフさんからキャーキャー言われてた聖南が俺を組み敷いている。
濡れた雄の瞳が俺しか見てない事に異様に興奮してしまって、聖南をぎゅっと抱き締めた。
俺、……どうしちゃったんだろ。
聖南が好きだって気持ちが溢れてきて、止まらない。
見詰められても、見詰められても、足りないって思った。
「聖南さん……」
「どしたの、すげぇ甘えてくんじゃん」
ふっと嬉しそうに笑う、聖南の唇から覗く八重歯すら愛おしい。
綺麗でカッコいい聖南が笑顔を見せると、途端に無邪気なそれになる。
「……ここどうした? 切れてんぞ。まさかさっきので……」
ソファに膝を付いてのしかかって来ながら、眉を顰めた聖南が俺の下唇の端をペロッと舐めてきた。
佐々木さんの早業で切れてしまったんじゃないかと、怒ってる……ヤキモチもセットかな……?
「あっこれは違います! さっき自分で噛んじゃって……」
「ほんとか? アイツのこと庇ってない?」
「違います、これはほんとです」
「そうか……キスしてたら痛いんじゃね?」
「大丈夫です、たくさんして下さい」
「……っ! だからな、煽んなって言ってんだろ」
言いながら鎖骨に吸い付かれて、キスマークを付けられたって分かった。
お互い服は着たままだから新鮮で、いけない事をしている背徳感がまた下半身をムズムズさせた。
「ローションねぇし葉璃ので慣らすからな。いっぱい出せよ?」
「いっぱい……?」
目の前から聖南が消えたから動向を見ていると、ささっとジーンズと下着を取り払われる。
聖南がさらに見えなくなったすぐあと、ぷるんっと顕になったそれを、何の躊躇いもなく咥えられてしまった。
「え……っ? あっ……そ、そんな事っ! 待って、待っ……聖南さんっ」
「あれ、シャワー浴びた? 葉璃ってほんと綺麗好きだよな」
「ちょっ、くわえた、まま……!」
俺のを咥えたまま喋るからモゴモゴと歯先が当たって、まともに扱かれてもないのに今にも昇り詰めそうだった。
吸い上げながら器用に根元を擦られて、あふれ出る先走りを口に溜めた聖南はそれを掌に出した。
「……っ……あっ……あぁ、っ……」
出したものを穴に塗りたくり、また俺のものを咥える。それを繰り返して、いよいよ俺がイッちゃうって時も、唇を離してくれなくて……。
「あぁぁっ……! や、っ……はぁ……はぁ……っ」
焦らしが一切ない射精はまさにあっという間の出来事で、ついていけない波に襲われて呼吸が浅くなる。
俺が早々に放ってしまったそれを、聖南は今日は飲む事はしなかった。
ぼんやりと天井を見上げて聖南の肩に掴まろうとしたのに、おもむろに足を抱え上げられる。
あ、と不満を訴えようとした次の瞬間、聖南は俺の精液を直接孔へと舌を使って塗り込んできた。
舌先が、入り口からぬるぬると出たり入ったりしてる。唾液もたっぷり塗りこまれていた。
「指入れっぞー。力抜けよ」
「……んっ……っ……っっ……」
聖南の声に、どうしたって無意識に力が入る。
これは……未だに慣れない。
つぷっと入ってきた指先の感触をすぐに感じた俺は、頑張って力を抜こうとしてみたけどうまく出来てるのかなんて分からなかった。
最初はどうしても異物感がすごくて、力んでしまう。
「……んっ、」
それに気付いた聖南は毎回、力が抜けるようにってキスしてくれるんだけど、今日は長く聖南の口内に留まってたからか、俺の精液の味が濃くて顔を背けてしまった。
美味しくない。こんなに不味いものを、よく平気で舐めたり飲んだり出来るな……っていつも思う。
「こら、キス拒むな」
「だって……マズい……」
「自分のだからいいだろ」
笑う聖南に、俺は目を細めて今度こそ不満を訴える。
けれど蠢いていた指が二本に増やされて、よりそこが拡がり始めたのを感じると強気でい続けるのが無理だ。
俺の性器からたらりと溢れる二回目の期待を掬い取ると、同じようにまた孔に塗り込まれて腰が落ち着かなくなる。
ヒッと喉を慣らしながら聖南の腕にしがみつくと、そういえば俺は聖南のものかくを咥えた事がないなとぼんやり思った。
実は、触るのもあんまりした事ない。
聖南のは大きくて口に入れるのは大変かもしれないけど、いつも俺ばっかり気持ち良くしてもらってるから同じようにしてあげたいって、こんなところで初めてそんな感情が湧いた。
「……あ……、あのっ……聖南さんの、聖南さんのもする」
「んっ? はっ!? いや、いい! それはまだいい!」
「な、なんで? 俺はしちゃダメ? なんでですか?」
そんな風に激しく断られるとは思わなくて、ちょっとショックだ。
俺は当然初めてだから聖南みたいに上手に出来ないし、多分……すごく下手くそ。
だから嫌がってるんだ。
そう思うと何だか悲しくなって、プイと横を向いて聖南の指を思いっ切り締め上げた。
「痛てててっ。葉璃! なんかまた誤解してねぇっ?」
「ふんっ……」
「こんなとこでやってもらうとか勿体無ぇだろ、家帰ったらしてくれ。できるんなら」
「ぅん、んあっっ……そこ……っ」
締め上げた事で、聖南の指が少しでも曲がると電気が走る気持ちいいとこをグンっと押されて喉が仰け反った。
自業自得なんだけど、ダイレクトな刺激に膝が震えてしまった。
俺は、いじけたというよりちょっと寂しい気持ちになったんだ。
簡単に言うと、……ヤキモチに近い。
モヤモヤし始めると長い俺の上体を聖南はゆっくり抱き起こして、切れたとこもお構いなしに深く口付けてきた。
「唾液ちょーだい」
「んっ……? ……んんっ……」
ちょうだいって言われても、どうやってあげたらいいの。
至近距離で聖南の瞳に問い掛けるも、切れた端もお構いなしに口の中を思いっ切り吸われて息が出来ない。
「んむっっ!? ……んんんーっ!」
唾液どころか、舌ももがれるかと思った。
聖南は口に含んだ唾液を反り立つ自身へと垂らし、それはローションの役割として機能するのか分からなかったけど……なんていやらしい光景なんだって頬が熱くなった。
「俺も、余裕無ぇ……もう挿れてい?」
「……あっ……んんんっっ 」
「痛かったら我慢しないで教えて。でも声は我慢な。深くは挿れねぇから」
暗がりの中でも素晴らしくカッコイイ聖南が、ゆっくりと覆い被さってくる。
俺だけを見詰めて、俺の体を抱き締めて、じわりじわりと中へ挿入ってきた。
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