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入ってきたものは、触れた先端からでも分かるほど熱くて、大きくて、固くて、瞳をぎゅって瞑ってもなんの気紛れにもならなかった。
聖南は慎重に、俺が痛くないようにゆっくりゆっくり挿入してくれてる。
それは、分かるんだけど……。
狭い襞をぎゅぎゅっと押し拡げてる感覚がハッキリと分かっちゃうから、いつも呼吸を忘れてしまう。
「はるー……目開けろ」
何度も耳元で「痛くない?」と聞いてくる聖南の声で、背中が震えた。
痛くない、と首を振る。
でもほんとは、ちょっとだけ痛かった。
いつもたっぷりのローションでこれでもかと慣らしてくれるから、聖南もきっと足りないって分かってると思う。
だから何度も確認してくれてるし、全部は挿れないって言ってくれたんだろうけど、もう止まれないよ。
聖南もたぶん、そう。
暗がりの小さな楽屋で、俺達は繋がってしまった。
「……聖南、さんっ……好き、大好き……」
「俺も。俺も好き。葉璃、好き。頼むから……目移りすんなよ」
「しないっ。聖南さんしか、見えな……あっ……やっ、早っっ……」
突き上げてる途中で甘い告白を続ける聖南の上体が、俺から離れた。
そんなの許せなくて、両腕を伸ばして聖南の首元をぎゅっと引き寄せて密着すると、切なく吐息を漏らす聖南の唇が俺の首筋を這った。
「…………甘えてくんの、ヤバ過ぎ……」
苦々しく呟きながら力いっぱい抱き締めてくれた聖南は、俺の体を反転させて背中越しにキスをしてくれる。
もう、精液の味はしなかった。
「葉璃がバック嫌いなの分かってっけど、ここ動きにくいから許してな」
「いいっ、いいよ、……我慢っする、……寂しいの、我慢、する……するから、ぎゅってして、いっぱい……」
聖南がちゃんと俺を見てくれてるなら、その存在を感じさせてくれるなら、構わない。
動きやすくなるように、腰を少し上げてみたら一層早く動かれ、念願通り後ろからぎゅっとしてくれた。
俺を抱き締めるようにして動いてる聖南の腕に、力いっぱいしがみつく。
声出しちゃダメって言われたから、いくら唇がだらしなく開いても出来るだけ我慢した。
「……っ、っ……っ……っ……ふっ……」
「……はる……かわいー……」
「んっ……やめ、やめて、そんなカッコイイ声で……反則っ」
「葉璃のかわいさも反則……」
恋人が、顔も声もカッコイイなんて、俺には逃げ場がない。
突き上げてくる聖南のものすら男前で、ガンガン良いところを擦ってくれては俺を喘がせてくる。
下唇を噛んでも、漏れ出る声は抑えられなかった。
一生懸命耐えてるつもりでいた俺は、下唇を噛んでたのが聖南に見付かってちょっとだけ怒られる。
「あ、こらっ、俺の体噛んでいいっつったろ? 何一人でこらえてんの」
「……だっ、……て……」
「だっては聞かねぇ。試しに俺の腕噛んでみてよ、大丈夫だから」
腕まくりした左腕を俺の顔の下にやられたけど、噛むつもりはないよってほっぺたをスリスリしたら背中がピリピリッとした。
今いくつも痕付けられた……っぽい。
「なぁ、それ……甘えてんの?」
「んっ……っ……!」
「スリスリじゃなくて、ガブガブいけよ」
「い、いや……っ、むりっ……せなさん、痛いの……だめ……っ」
「じゃあキスしとくか」
「んむ……っ」
返事をする間もなく、背後から顎を取られて唇を奪われた。
無理な態勢なのに呼吸も許されなくなって、下半身に集中していた熱が一気に全身にまわる。
せめて、動かないで……。
訴えたくても、今の聖南からは野生化した笑みしか返ってこない。
ギチギチに塞がれた孔から何かが溢れている。
俺の精液と、聖南の唾液と、……興奮の証が混ざり合ったやらしいそれが、ぴちゅ、ぴちゅ、と音を立てていた。
外の気配も相まって、恥ずかしくて顔を覆いたくなる。
「……あー……もうイきそ……」
聖南が俺の左腕を取って苦しそうに呟く。
濡れた瞳が見られなくて残念だけど、甘い吐息と激しい腰使いで、感じてくれてる事が伝わって胸がじんわり熱くなった。
聖南は快楽だけじゃなく、あんまり動く事を知らない俺を全身で求めてくれるから、いつも心がキュンキュンする。
俺の大切な恋人は、器用に俺のものも扱いて絶頂へと向かわせてくれながらラストスパートをかけた。
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