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聖南の可愛い恋人は助手席で完全に寝入ってしまっている。
乗った瞬間から目を擦り始めたので、この時間だし眠いんだなと思ってはいたが、発進して数秒後には首を変な方向に向けて夢の世界へと旅立ってしまった。
聖南は一度ハザードを付けて路肩へ停め、キョロキョロと辺りを見回してマスコミが居ない事を確認すると、一旦降車し葉璃を後部座席へと運んだ。
あのままでは葉璃の首が寝違えた状態になって可哀想だった。
『……アキラの匂いすんのだけは許せねぇけど』
運ぶ際も、葉璃からはアキラ愛用のキャロライナヘレラの香水の香りが鼻をついて、どうにも解せない。
やたらとアキラに懐いている葉璃は、先程も率先して散歩に連れ出していた。
葉璃にとってはとても聞いていられないような話をケイタとしていたのは悪かったが、それがたとえ相手がアキラでも、他の男とのイチャイチャを目の前で見せられればムカつくのはしょうがなかった。
『……父親との事とかどうでもよくなっちまったよ…』
たった数時間前まで、過去の事をほじくり返してとどめを刺してきた父親に愕然とし、心の中ですべて終わったと嘆いていたはずなのに。
今は葉璃の事で頭がいっぱいだった。
駐車場に着いても起きる気配のない葉璃を抱えて、聖南は自宅へと入った。
その足でバスルームに行き、聖南とは違う香水の匂いにまみれた葉璃を全裸に剥いていると、ようやく愛しの恋人は目を覚ましたようだ。
「ん………さむっ……」
小さく呟いて素っ裸で聖南に抱き付く葉璃を、複雑な顔で見た。
「立てる? 俺も脱ぐから先にシャワー浴びてて」
「………あれ、いつの間に着いて……」
寝ぼけ眼で聖南をチラと見た葉璃が、「ん?」と首を傾げながらシャワーを浴び始めた事で聖南も急いで衣服を脱ぎ去った。
早くその匂いを落とせ。
そう言ってしまわなかった自分を若干褒めながら。
寝起きであまり頭が働いていないのだろう。
葉璃はシャワーを頭から浴び、力なくワシャワシャと髪を洗っている。
『あー……かわいー』
毎回葉璃と会う度に思うが、葉璃は可愛いフェロモンでも体内に常備しているのだろうか。
小さくて華奢で、真っ白な素肌は未だに触れる事を一瞬だけ躊躇してしまうほど危うげだ。
ゆっくり背後からその大好きな体を抱き締めた聖南は、少しだけシャワーからずれて葉璃を振り向かせ、唇を奪う。
「………んっ……」
「葉璃、舌」
「……ぁ………ん…ふっ………ん……」
もはや何の躊躇いもなく舌を出してきて、聖南のを喜んで受け入れてくれる。
甘い吐息を溢しながら聖南の舌で遊ぶ葉璃の表情は、とても高校生には見えないくらいに悩ましくていやらしい。
シャワーのお湯で聖南ではない匂いは消えてくれて、ようやく落ち着いてきた。
聖南は葉璃の口腔内を目一杯蹂躙する。
小さな口を大きく開けて聖南のキスを受け入れる葉璃もまた、唾液をポタポタと溢しても平気なほどに夢中になっていた。
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