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49♡ 3P
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あっという間に一階まで降り立つと、駐車場とは反対の方へ猛ダッシュする。
しばらく走って立ち止まったそこで、誰からも連絡がつかないようにスマホの電源を落とした。
「はぁ……はぁ……、はぁ…」
疲れた。足はもう動かない。
やっぱり昨日、たくさん抱かれ過ぎた。
寝てないし何も食べてないから気分まで悪くなってきた。
「腰と足が痛い……」
日曜で人がごった返していた街を抜けると、俺にはさっぱり馴染みのない場所へと来てしまったけど、なんかもうどうでも良かった。
こんな事して聖南から離れても、ETOILEとしてデビューすれば先輩後輩としての関係は続くっていうのに、俺はどうしたらいいんだろう。
ほんの数時間前まで、聖南と寄り添って笑い合ってたはず。
なんだろ、今のこの状況。
「……あはは………!」
人通りの少ない路地裏、ビルとビルの間にしゃがんだ俺はおかしくなったように笑い転げた。
きっと傍から見たら物凄くヤバイ奴だ。
離れるなって約束を破ってしまったから、聖南は悲しむだろうか。
怒るだろうか。
聖南にとって俺は唯一無二だと信じてるし、俺もそう思ってるけど、他人はそうは見てくれない。
俺達がどれだけ愛し合っていても、理解を求めるのは簡単な事じゃないから。
聖南の居る立場をより深く知った今、昔みたいに生半可な気持ちで聖南と離れる事を選んだわけじゃない。
だって今、ツラくないもん。
俺が気のない素振りを見せたら聖南もいつか目が覚めて、綺麗な女性との結婚と子どもを作る事を夢見始めるに違いない。
そうなるといい。
俺と一緒に居たって聖南の足枷にしかならないんだから。
意地もプライドもない、俺はただただ聖南の未来を案じた。
俺が隣にいちゃいけないって、最初は思ってたはずなのに…なんでだろう。
聖南から与えられる愛にどっぷりと浸かった俺は、周りの目なんか怖くないってとこまで思うようになっていた。
他人なんか関係ない、って。
それは聖南にとっても同じだったんだろうけど、こうしていざ他人に俺達の事がバレてしまうと、途端に怖くなった。
聖南に悪いイメージがついてしまわないように、はじめから俺との事なんか無かった事に出来ないかな。
俺も忘れるから。
聖南との甘い時間と、たくさんの愛は忘れるから。
幸せでいてほしいよ、愛してるから。
「聖南さん……………」
この決断を許してください。
すべてはあなたのためなんだから。
俺は瞳をギュッと瞑った。
その奥には聖南のヤンチャな笑顔がチラついて「葉璃」って呼ぶから、俺も思わず微笑んでしまう。
足も痛いし、腰も痛いし、お尻もずっと変な感じだし、……これからどうしよう。
帰宅すれば必ず聖南はやって来るから帰れない。
二日、……いや、三日くらいあれば聖南に俺のこの決意分かってもらえるのかな。
そこでどれくらい座り込んでたか分からないけど、辺りが暗くなり始めたから、とりあえず春香と連絡を取り合わなきゃと立ち上がった。
長時間しゃがんでたせいで見事に足が痺れてて、しばらく動けない。
暗がりの中立ち竦んでいると、「葉璃?」と知った声が頭上から降ってきて、顔を上げるとそこには佐々木さんが居た。
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