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49♡ 6P

49♡ 6P 聖南にとっての幸せ………? そんなの、そんなの…。 「葉璃と一緒に居る事なんじゃないの」 佐々木さんはそう言うとお茶を一気に飲み干し、ペットボトルを投げてゴミ箱に放った。 「……………で、でも…俺が一緒に居たら……」 この関係が万が一広まってしまったら、聖南が悪く言われてしまうかもしれない、なんで聖南の相手が倉田葉璃なんだって笑われちゃうかもしれない、今まで関わってきた人達から後ろ指指されて仕事が無くなっていくかもしれない…。 生まれた時から芸能界に居る聖南から、俺の存在一つでこれまでのすべてを取り上げてしまうかもしれない…。 聖南が俺のせいで不幸になるかもしれないって分かってて、一緒にいられるわけがない。 社長だってそう言いたかったんだ、聖南の事を思うなら別れなさいって。 聖南が事務所にどれだけ貢献してるかこの目でしっかり見ちゃった後だから、俺は余計にそんな思いに囚われている。 それなのに佐々木さんは終始、聖南の肩を持つ。 俺の事好きって言ってたし、さっきも「据え膳?」って聞いてきたくらいだから、てっきり俺と聖南が別れる方に話を持っていかれると思ってた。 「佐々木さん……俺どうしたらいいんだろ…」 一生に一度の誓いの言葉をくれた聖南に、二度と離れないよって約束して、俺達はしっかり分かり合ってた。 それが俺の本音で真意でもあるのに、どうしてこんな事になったの…? 「葉璃はセナさんと別れたい?」 「………………」 ……別れたいはず、ない。 聖南のために最良な判断だと思うから別れた方がいいって思ってるのは、これも俺のほんとの気持ち。 俺のせいで聖南が傷付くなんて嫌だから、その原因である俺が離れれば聖南が傷付かなくて済むって、そう思ってる。 「別れたいなら、別れればいいよ」 「違う、別れたいわけじゃ……っ」 「別れたくないのに離れたいってどういう事だよ。 セナさんの幸せを第一に考えての独断なら、それは相当危ない判断だと思う」 そんなの分かってるもん…。 聖南を置いてけぼりにしたまま、自分勝手に突っ走ってる事くらい。 でもしょうがないじゃん、聖南を守ってあげたいんだから…。 「…………厶ー………」 「厶ーじゃなくて。 ね、葉璃。 俺いまめちゃくちゃ微妙な立場から物言ってるの分かってるか? 俺葉璃の事好きだったんだぞ? セナさんと別れたって聞いたらこの場で葉璃のこと押し倒すくらい、まだ未練残ってる」 苦笑して立ち上がった佐々木さんはジャケットを羽織って、車の鍵を指で器用にくるくる回した。 一時間後に裏梨海岸で…って電話で言ってたから俺を送るつもりなんだって分かったけど、……なかなか動けない。 「…………未練消してください」 「葉璃達がいつまでもそんなだと、俺もなかなか前に進めないでしょうが。 根暗だ根暗だと思ってたけど、ここまでとはな」 「ひどい……傷口に塩塗り込みましたね、佐々木さん……」 「たっぷりな。 葉璃にはこうやって叱咤しないと伝わんないって忘れてたよ。 …なぁ葉璃、別れたいって意思が固いなら俺が沈めてやろうか、セナさん」 忘れた頃にやってくる総長に再度ニヤッと微笑まれ、動かなかった体が自然と奮い立つ。 恐ろしい言葉とその微笑みの裏には、ほんとにやるよって思いがしっかり込められていて、気が動転した。 「は!? そんなのやめてくださいよ!! 佐々木さんが言うとシャレにならない!!」 「あはは…! 葉璃はセナさんと別れたくないんだよ、だったらこれ以上セナさん怒らせない方が身の為だ」 超レアな佐々木さんの笑い声が聞けたと思ったら、またそんな事を言って俺の決意を鈍らせてくる。

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