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ⅩⅥ ── 十二月某日 ──

16♡〜赤面の打ち上げ〜③ ねぇ聖南、それは超超超超プライベートな事なんじゃないかな…! いくら仲良しだからって、言わなくていい事ってあると思うよっ? 「えぇぇぇっっ! 最高じゃんっっっ!」 「ぶっ………」 「……おいセナ……言わなくていいって…」 聖南の一言にケイタさんは大興奮し、恭也は吸い物を吹き出し、アキラさんは脱力した。 ついでに、丸聞こえだった俺も全身から力が抜けてテーブルに突っ伏した。 「あの時ハル君だけ美人ナースだったよね! 衣装持ち帰ったって事?」 「あぁ、買い取りしようとしたんだけど、他に使い前ないからって事でタダでくれたんだよ」 「へぇ、良かったな! で、イメプレって事は設定みたいなのは考えたの?」 「考えた。 俺は整形外科医、葉璃は新米ナース」 「いいじゃん、いいじゃん! あ、その時もセナは眼鏡掛けたんだろ〜! ハル君が眼鏡セナにメロメロだからって〜」 「おぉ、なんで分かったんだ? 眼鏡掛けて白衣着て、葉璃もあの衣装着て、…なぁ? 葉璃」 こ、ここ答えられるわけないだろ!!! 今は絶っっっ対、顔上げてやらないんだから! てか上げられるはずがない!!! 「ハル君ナース服似合ってたもんなぁ! あの歌の歌詞も振り付けもエロかったし…セナたまんなかったろ!」 「ヤバかったな。 あのナース服ファスナー一つで脱ぎ着出来んだよ。 一瞬よ、一瞬。 でもそれをじわじわ脱がしてくのが興奮したな」 「それヤバ! ナース服は男の憧れだからな! 全部脱がせんじゃなくて、乱れてそのまんま体にまとわせてる方が燃える!」 「俺もそっち派。 だから葉璃が飛ぶまではナース服ドロドロなっても完全には脱がせなかった」 「うぉぉっ、最高かよ! なぁ、あれは? ナースキャップは?」 「してたよ。 あれピンで止めてあったからあんま正常位でやると危ねぇ」 「なるほど! セナ激しそうだしな!」 「そういや、ケイタは一回イく毎に体位変えるか? それとも一回の間に何コもやる?」 「あー俺は後者だな! 前にも言ったじゃん、俺三回がギリなんだよ。 大体二回で終了だから色々やりたいもん」 「あぁ、そう言ってたな」 「セナはどっちなんだよ?」 「俺は時と場合によるな。 葉璃が好きな体位はしつこくやるけど」 「へぇ! ハル君の好きな体位って何……」 「セナ! ケイタ! やめろ!」 両耳を塞いでテーブルに突っ伏してた俺にも、聖南とケイタさんの会話はバッチリ聞こえてた。 アキラさんが止めてくれなかったら、我慢出来ずに俺は喚き散らしてこの場から逃げてたとこだ。 ───俺、いよいよ頭から湯気出てないかな……。 「なんだよアキラ〜、大声出して〜」 「……セナもケイタも、もうやめとけって。 ハルがやべぇよ…」 「セナさん。 俺にも、刺激強過ぎるんで…」 恭也の脱力しきった声音に、今すぐ逃げ出したい気持ちでいっぱいになった。 なんで聖南はそんな明け透けに話しちゃうかな…! 俺と聖南のエッチ事情なんて聞いても、誰も得しないよ! 「せっかく盛り上がってきたのにぃぃ」 ……いや、ケイタさんだけは例外みたいだ。 唇を尖らせて箸を動かし始めた事にホッとしながら、幾多のメロドラマで活躍中の甘い顔立ちのケイタさんが、あんなに下ネタが好きだなんて意外過ぎだと溜め息を吐く。 「なぁ、ケイタ。 せっかくハルと仲良くなれそうだったのに、今のでまた距離出来たんじゃね?」 「あっ! そうだった! ……ハル君、……怒ってる?」 「………怒ってます…」 顔を上げた俺の手を、ケイタさんが隣から恐る恐る握ってきた。 当たり前でしょ、って怒ってはいるものの、ケイタさんにというより大半の怒りは聖南に向かってる。 本人目の前にしてあんな暴露トーク、絶対しないでほしかった…! 頭の中が沸騰したよ! 「えぇぇ…! ご、ごめんね! 俺セナハルのこの手の話が大好きなんだよ〜! 俺も二人みたいな恋人欲しいなっていうか、マジで羨ましいなっていうか…! とにかく悪気は一切ないからねっ? 帰ってちょっとだけ妄想したりもしないからねっ?」 「ケイタ……お前墓穴掘ってるぞ…」 「妄想…っ? ケイタさん、やめてくださいよっ」 「し、しないしない! 過去三回くらいしか…!」 「三回って、妄想してるじゃないですか…! ………ん? 過去、…三回?」 ───どういう事? ……ケイタさん、そんなにたくさん聖南と俺のエッチな話を知ってる…、の? 「……聖南さん、……もしかして俺とのアレコレ、ケイタさんに筒抜けなんですか…?」 「…………………………かな」 聖南が頷いた瞬間、アキラさんと恭也の顔が「あちゃー」って歪んだ。 隣のケイタさんは俺から気持ちばかり距離を取って口を噤み、王子聖南はというと………普通に料理を食べていて俺と視線を合わさない。 ついさっきまで意気揚々と話をしてたのに、何だか歯切れが悪く見えて…。 ──全身の血が頭に上ったのが自分で分かった。 「聖ー南さん」 「ん? な、なに? …葉璃ちゃん」 照れくさくてなかなか見られなかったのに、今は不思議と凝視できる。 ヤバイって顔してる聖南の視界に無理やり入り込んで視線を合わせると、俺は怒りに任せて一喝してやった。 「しばらくアレ禁止!!!!」 「…………な…っ!」 プイッと聖南から視線を外し、俺はその後 黙々と料理を食べ進めた。 聖南が情けなく顔を歪ませて「機嫌直せよ〜っ」って何度も言ってきたけど。 ……知らないもんね。 王子聖南のバカバカっ。 ── 十月某日 ── ── 十二月某日 ── 終

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