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【別れ話】2※

 綺麗好きな葉璃は、セックスをする前は必ずシャワーを浴びたがる。  男同士という特異な交わりのための準備が色々と必要だという事もあり、それは聖南も充分理解し尊重していた。  だが今日はそんな余裕などあるはずが無い。  慄いて言葉を発さなくなった葉璃をベッドに押し倒し、荒々しく衣服を脱がせた聖南はサイドテーブルの引き出しからシリコン製のコックリングとローション、ロープ二本を取り出した。 『……遊びで使おうと思ってたのになぁ』  葉璃の肩口をベッドに押さえつけたまま、手に取ったそれらを苦々しく見詰める。  言いたい事も、言わせたい事も、たくさんあった。  けれど口を開くと冷静でいられる自信が無かったのだ。  無色透明のコックリングを、さも当たり前の如く葉璃の怯えきった性器の根元に装着する。 嵌ったかどうか確認するために性器を手のひらでぎゅっと握ると、華奢な体がビクついた。 「せ、聖南さん……! これ、なに……?」 「………………」  別れ話をしたわりには、まるで抵抗する様子を見せない葉璃が上体を起こした。  聖南は答えず再度押し倒すと、葉璃の両手を腹の前でひと括りにし、ロープでその両手首を素早くかつ気持ち強めに縛った。 「えっ、ちょ、ちょっ……聖南さん……っ?」 「………………」  慣れた手付きで具合を確かめると、もう一本のロープを葉璃の右の足首に巻き付ける。 右足を曲げさせ、手首を縛ったロープと絡ませて結んだ。  絶対に逃げられない陵辱の格好が出来上がり、表情を失った聖南は頭に血が上ったまま、葉璃にいたっては聖南の無言の怒りに怯えている。  聖南は葉璃から一度離れ、我ながら手際良く出来たと満足しローションを手に取った。 「───理由は?」 「……り、ゆう……?」 「そ。 理由」  ぬちゃっとした液体を指先に馴染ませている聖南は、葉璃と目を合わせられなかった。  また泣かれてしまうと、これからの事がしにくくなる。  窄まった孔に液体を這わせ、聖南は「言えよ」と凄んだ。 「分かってる? 俺にそれを言うって事は相当な覚悟と理由があったんだろ?」 「んっ、……! んんん……っ!」 「俺が納得する理由、一から十まで説明しろよ」 「あぅっ……んんっ……」 「俺達は離れられないんだって。 言ったよな、俺? 葉璃に好きな奴出来たとしても俺はもう離してやれねぇよって」 「い、言い、ました……」 『じゃあなんで……!』  分かっているなら、あの台詞は絶対に言ってはいけないだろう。  今までに無いほど手荒く孔を解していた聖南は、怒りのあまり気を失いそうだった。  少しずつ様子がおかしくなるのならまだ話は分かる。  聖南に気持ちが無いと徐々に分からせてくれていたら、これほど怒りは湧かなかった。  離してやれない……けれど葉璃の幸せを一番願っているのも聖南である。  しかしこうも突然だとこうする他ない。  聖南が指を抜き差しする度、葉璃は何度も「痛い」と言った。  いつもならやめてやれるが、今は無理だ。 「話せって言ってんだろ」 「ん、んぁぁっ……っ」 「俺を納得させてみろよ」 「いや……っ、痛い……聖南さん、っ」 「何も説明しないで別れられると思った? 俺どんだけナメられてんだよ」 「ちが、う……せなさん……っ、違う……!」 「あぁ?」  語気を荒げ葉璃に喧嘩腰で突っかかる聖南の視界に、悲しく勃ち上がる濃いピンク色の性器が目に入った。  襞を掻くようにして性急に解していた指を引き抜いた聖南は、フッと嘲笑し目尻からいくつも涙を零す葉璃を見る。 「別れたい男からぐちゅぐちゅにされて勃ってんだ。 ま、今日は精液吐かせねぇけどな」 「うぅ……っ……」 「体ぶっ壊れるまで溜めとけよ。 俺が納得したら解放してやっから」 「……え……? せなさん……何言って……っ」 「いや、俺からしたらお前が "何言ってんの?" だよ」 「ん、ん、んんんぁぁ───っっ」  普段葉璃には「お前」と言わないよう気を付けている聖南が、考え無しに物を言うようになっている。  この期に及んで分からないフリを通された聖南の怒りは、頂点に達した。  昂ぶった性器を孔にあてがうと、縛り上げた葉璃の腿裏を持ってすぐさま亀頭を押し込み内を貫く。 幾多にローションがぶちゅっと外に弾け出てくるほど、勢いよく竿まで挿れ込んだ。 「い、いた、い……っ……んんっ……あっ……」 「痛い? ごめんな? でも大好きな人から突然別れたいって言われた俺の方が痛えんだわ」 「それ、それは……せな、さんっ……ちが、うの、違う……! あっ……ん、っ……痛っ……」  やわらかな場所を一気に貫かれた葉璃は、耐え兼ねて足を震わせていた。  解し足りないのか、聖南の性器が怒り交じりでいつもより膨張しているのかは定かでないが、湿った襞がそれを千切らんばかりに締め付けてくる。  葉璃も痛いなら、聖南も痛い。  一番敏感な心をグサリと刃物で傷付けられた、その痛みの方がツラかった。

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