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第37話

サイダーを手渡され、いただきますと口をつけるとシュワシュワと気分まで爽快になる。 そのまま古志は相川の母親と話しているとジャリジャリと小石を踏みながら大きな箱を抱えた相川が帰って来た。 「ただいま。 お返しにって桃貰ってきた」 「お帰りなさい」 「おかえり。 光輝、ありがとう。 おやつ置いとくから古志くんと食べてね。 古志くん、ありがとう」 桃の箱を受け取ると奥へと引っ込む母親に相川は視線をやるが、すぐに古志を見た。 「何か話してたんですか…?」 「秘密です」 悪戯気に笑いながらもう一口サイダーを飲むと、一緒に口に入ってきた氷を砕いた。 冷たくて美味しい。 此処は水が綺麗なだけでなく美味しい。 自然豊かなこの辺りは田んぼと畑ばかりで時間も穏やかに過ぎていく。 まるで、相川の様だ。 チリンと風鈴が熱風にはためく。 蝉が庭木や電柱にとまり大合唱をする。 こんなに夏を満喫出来るなんて気持ちが良いと古志は目を閉じた。

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