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第38話

「じゃあ、帰るね」 「お邪魔しました。 どの料理も本当に美味しかったです」 カンカン照りの中、両親と祖父母は見送くりに来てくれた。 小さな荷物とどんぐりを連れてきただけの相川と着の身着のまま制服にスマホのみで来た筈の古志だが、今は両手に土産の入った紙袋を3こ4こと持っている。 中身は地元銘菓やレトルト食品、ご近所から分けてもらった果物や野菜。 向こうでも買えるのにと言いそうになり相川はそれは飲み込んだ。 古志くんはにこにこと祖父母と話している。 あの甘い顔立ちは祖父母にも通用するらしい。 「これ、トマト。 あと、茄子と苦瓜、胡瓜っちゃ」 「うまそ。 ありがとうございます」 「しっかり食べるんよ。 それから、動物に夢中になりすぎんと水分摂って」 「うん。 わかってる。 大丈夫だって」 そろそろ出発すると合図され、名残惜しそうな母親に挨拶をする。 「また帰ってくるっちゃ」 「俺もまた遊びに来ます。 それまでお元気で」 「楽しみにしてるっちゃね」 祖父母の手を握り目線を合わせて挨拶をする古志くんを見て、なんであんなにモテているのか解った気がした。 女の子達もきっとそれに惹かれている。

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