43 / 83

第43話

「…ッ、ぅ"く"」 鍵は締めていない。 だけど、殺しきれない声をどうする事も出来ない。 そこまで頭が回らない。 身体が言う事を効いてくれない。 「光輝さん、も、すこし…」 「ん"ン"ッ、」 古志は相川の首の後ろに腕を差し込み自分の肩に押し付けた。 もさもさした髪が頬に当たる。 汗のにおい。 相川のにおいに発情した汗のにおいが混じる。 好き 愛してる 子供みたいな単純な理由だ。 そんな理由で生物教師を犯し傷付け、逃げた。 それなのに、我が儘な自分はまたこの教師を求めてしまった。 ごめんなさい。 俺は、貴方から“世間が言うしあわせ”を奪います。 だけど、しあわせにするから。

ともだちにシェアしよう!