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第50話
机に並べられていく夕食に相川は目を丸くした。
「すごい…お洒落な…」
「お洒落って、素麺をカッペリーニ風にしただけですよ。
サラダは切っただけ。
光輝さんのお祖父さんから貰ったトマト甘くて美味しかったんで、沢山入れたから沢山食べてください」
そうめんの皿を見てからゆっくりの古志を見て、またそうめんの皿を見る。
カッペリーニ…確か、細いスパゲティー…
すごく、美味しそう
「そんな見てるとのびますよ。
食べてください」
いただきます、と手を合わせ頭を下げる。
古志もいただきますと口にすると箸を手に取った。
トマトの酸味と甘味が爽やかで、そうめんがつるつると入る。
大葉が後味を豊かにさせてくれていて、いくらでも食べられそうだ。
「美味しい…」
「良かった。
光輝さんって、いっつもおにぎり食べてるイメージだったんで迷ったけど作って良かった」
「そんなイメージなんですね」
確かにコンビニではよくおにぎりを買うかもしれない。
意識した事はないが、そうなんだろう。
「麺も好きですよ。
作るのも、食べるのも、片付けるのも、簡単ですし…」
「そういう所は男なんですね」
穏やかに微笑んだその顔の甘さに心臓がドクン、ドクン、と騒ぎだす。
古志といると、心臓が大変だ。
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