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第51話

古志くんが後ろのソファで寝ている、という事実だけで緊張する。 学生達は夏休み真っ盛りだが相川達職員には仕事だ。 生徒達がいない分、細々とした清掃もしなくてはなれない。 とは言っても、職員も働く学校。 誰が綺麗にしようと関係ない。 それに加え、実家に帰省していたのでその分の仕事が少しだけ溜まっている。 こちらは早めに片付けなければ。 一瞥すると、脱色した髪がキラキラしていて絵本の中の登場人物の様に見えた。 甘い顔立ちはアイドルみたいで、本当に付き合ってるのかと不思議にさえ思う。 あの島まで追い掛けてきてくれたこの生徒ときちんと向き合いたい。 向き合わなければいけない。 そんな思いを遮らせる様に大きく終鈴が鳴り響いた。 「ん…、るせ…」 「ぁ、」 「んあーっ、よく寝た」 バッと顔を机にの向けるとドッドッと騒ぐ。 欠伸をした古志はそのまま頭を掻くと、にっこりと笑った。 「おはよ、“相川せんせ”」 「…お、おはよう、ございます」 「もう昼?」 「え、あ…お昼です」 「んじゃ、一緒に昼飯食いましょうか。 おにぎり」 夏休み真っ盛りの校舎。 なんで古志が居るのかと言えば、名目は部活動だ。 だけど、生物部の主な活動はハムスターの世話。 1日かかる仕事ではない。 掃除と水を新しくしてご飯をあげて、と言うか自分ががいるから古志には来なくても良いと伝えた筈だ。

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