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第61話
日焼けした畳。
沢山の図鑑。
素朴な相川らしい部屋だと思う。
開けた窓から熱風が入り込んでくる。
髪を揺らすその風に当たらない様にごろんと寝転がると、ぶらぶら揺れるプルスイッチを眺めた。
木の天井。
どんぐりのにおいのする部屋。
なんて肩の力の抜ける空間なんだろう。あの小さな島の様な心地好さが詰まっている。
少しの間、汗だくで昼寝をしているとカンカンカンと外階段を上がる音に覚醒した。
このアパートの住人は相川の他に先程あった老女以外知らないが、多分部屋主だ。
しっかりと地面を踏み締める足音は若い。
「どんぐり、おつかれさまでした。
すぐにクーラーつけますからね…」
鍵が差し込まれる前にドアを開け、キョトンとする相川を笑顔で出迎えた。
「おかえりなさい」
「え…?」
ヒラヒラと手を降りながら出迎える古志に相川は目を真ん丸くした。
「え…、え…?
なんで、あれ…え…?」
「お邪魔してます。
いつでも来て良いって言うから来ました。
あ、1階の方に羊羮いただきました」
「羊羮…」
外廊下で沢山の疑問符を浮かべる相川に無邪気な笑みを浮かべると、腕を引っ張り強引に入室させた。
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