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第80話
最後の1滴まで搾られ、喉の奥から出た声は動物のもののようだった。
人間も動物だ。
それで間違いはないのだが恥ずかしい。
折角理性のある人間に生まれたのに、やっぱり動物なんだと思い知らされる。
はっ、はっ、と荒かった呼吸も少し整ってきた頃膝の裏に手を差し込まれた。
見上げた先の恋人の顔に息を飲む。
なんて艶っぽい表情をしているんだろう。
ギラギラした目も上気した肌も、長距離を走った後の様な自分とは違い性的な興奮を覚える。
「次は、俺の番…っ」
思い切り脚を割り開かれ、恥骨がぶつかった。
もうセックスなんて可愛いものじゃない。
交尾だ。
本能のままに求めあう行為。
ピストンが早くて縁が捲れる。
肉壁が出てしまいそうだ。
「ゔぅ゙……ッ、ん…っ」
膝裏のやわらかな皮膚に爪が突き刺さる。
痛い。
だけど、麻痺した頭ではそれは伝わってこない。
はじめてのセックスに浮かれる年でもないのに。
「は…っ、……光輝さ…イきます、声…我慢ね」
一際強く奥を抉ると覆い被さってきた。
香水のにおいと汗のにおいが鼻孔を擽り、嗅覚でも淫らな事をしているんだと思い知らさせる。
「…は、…」
ドクドクとゴムの中に吐き出される精液を感じながら、疲れて目を閉じた。
つ…かれた………
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