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監察日誌:熱い視線と衝動的な想い
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仕事は相変わらず忙しかったが、伊東くんとは定期的に会っていた。毎日マメに、彼からメールをもらっている。
『微糖の君へ
今、大学のカフェテラスで、お茶を飲んでます。今頃お仕事一生懸命、頑張っているんでしょうね。大好きなアナタに、一秒でも早く会いたい』
必ず、微糖の君へから始まる文章。そして想いをこめた内容を、羨ましく思う。
囲碁の勝負のように、逃げずに直球勝負をしてくる彼。漆黒の髪の下にある、意志の強い眼差しを思い出すと、じんと胸が熱くなった。
まだ言葉に出来ない俺は、本当にダメな男だ。
ため息一つついて、手短にメールの返信をする。
『今やってる仕事のカタがついたら、必ず会いに行く。それまで、首を長くして待っていろ』
文章でさえも、上手く想いを伝えることがなかなか出来ない。こんな俺を、君はいつまで待つことが出来るのだろうか?
(きっかけさえ、何かあれば……)
いろいろ考えていた瞬間、監察室の扉をノックして入って来た人物。その姿を見て、ぴんと閃いたのだった。
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