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監察日誌:熱い視線と衝動的な想い5

***     雪雄との付き合いが順調過ぎるくらい順調に、進んでいたある日。  難航している仕事に辟易しながら、ため息をついた瞬間、デスクに置いていたスマホが、軽やかに着信を告げた。  時刻は午後10時58分……こんな遅くに誰だろうと、ディスプレィを確認したら、水野くんからだった。 「関です……何かあったのか?」 「あ、お疲れ様です。水野ですけど今、大丈夫ですか?」  コソコソ喋る水野くんの様子に、眉間にシワを寄せるしかない。 「ああ。大丈夫だが……」 「俺、今夜当直で、買い出し頼まれてコンビニに来たら、伊東くんが厳つい男に絡まれてて……」 「なるほどな。出待ちしたところを狙われたか」 「えっと……関さん?」 「悪いが、俺が行くまでに雪雄を救出してくれ。勿論、警官だってことは内緒だ。相手は2年前、付き合ってた元彼だから」  雪雄と本格的に付き合ってから、どうしても元彼の存在が気になって、使ってはいけないラインで調べあげた。  ――スーパーゼネコンにお勤めの元彼さん。  最近縁談話が破談となり、それが原因なのか、地方へ飛ばされる予定になっていたはず。  なので、そろそろ現れる頃だろうと考えた矢先、予想が的中してしまった。 「良いことに関しては、当てが外れるのにな……」  ポツリと呟き、水野くんの返事を待たず、さっさとスマホを切る。コートを引っ掴み、小走りで扉に向かった。  多分雪雄は、困惑しているだろう。何故自分の元に、今頃現れたのかと――

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