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07.

(side FOREST) あれ、ここは、どこだっけ。 ああ、そうか、ここは。 何処でも無い場所。 悪魔さんと契約する間際、 悪魔さんは言っていた。 「君はここで永遠を過ごすんだ」と。 その時には既に罰で視力を渡していた。 だから「ここ」が何処かは分からないけど 冷たく、音が一つもしない場所。 時折水滴が落ちる音だけがした。 「フォレスト、今ならまだ君は…」 「悪魔さん、俺本当に、貴方に出逢えて良かった。 苦しい時も寂しい時も側にいてくれたのは 貴方だけだったから。…だから、大丈夫。 俺は大丈夫だから。」 心配そうな声に、そう返す。 すると息を飲む音がした。 「…分かった。契約をしよう。」 その言葉に宙を舞う感覚が身体を襲う。 悪魔さんはなにを唱えていた。 身体がキリキリと痛む。 どんな痛みも、どんな孤独も受け入れよう。 彼らの幸せの為ならば。 次に意識を戻した時には、「ここ」にいた。 「君はここで永遠を過ごすんだ」と 遠くから悪魔さんの声がして、 ゆっくりと頷いた。 そこから、誰の声も音もしなくなって。 ああ、1人か、と他人事のように思う。 なにも見えない、なにも聞こえない。 完全な孤独は余りにも怖かった。 でも、怯える筋合いは俺には無い。 だから沢山色んなことを考えて誤魔化す。 アレストとレオンはどうなっただろう。 目を覚ましただろうか? 今頃、式を挙げているのだろうか。 きっとアレストもレオンも綺麗なんだろうなぁ。 両親はいなくなった俺を心配するかな。 いや…怒ってるかも。 アレストは?心配してくれるかなぁ。 ああ、でもきっとレオンがいるから大丈夫だ。 レオン…、きっと俺を憎んでるはず。 アレストがああなった時に 好意を伝えたんだから。 冷めた目をしていた。 多分、俺がいなくなって清々してる。 幼い頃、俺を心配してくれた人間は 彼だけだった。たった一回だけれど、 心は充分に救われたんだ。 本当はその事も感謝を伝えたかったんだけどな。 あの絆創膏、実はまだ部屋に隠してるんだ。 バレたら気持ち悪いと言われるかも、と 思ってタンスの奥底に隠してる。 だからバレる心配はないし、 それにレオンは覚えてもないだろう。 …好きだった。心の底から。 叶わないとは分かっていたけど、 本音を言えば「どうしてアレストなの」と 少しだけ思ってしまったんだ。 けれど、それもあれも、もう終わった事。 彼らは幸せになる。 それが俺の望み。 だから、俺は嬉しい。 この孤独の代わりに彼らが笑えるなら。 それは嬉しい事なんだ。 そうなんだけど。 「…寂しいなぁ」 その声は誰にも届かない。 だから零したっていいんだろうけど。 だけど、もう二度と声にはしない。 そう誓うから今だけは。 泣いたって、いいだろうか。

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