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暫くしてから、イロハの身体は離れていった。 「ハルもう大丈夫?」 「っ、うん平気っ、ごめんね?」 「わーもー何で謝るのハル! だからハルは何も悪くないってば!ね、カズマ」 悪くないのに謝るのはだーめー! 口を尖らせてるイロハに「ごめん」と苦笑すると「ほらまたー!」と怒られる。 「あ、これループするパターンだからイロハもハルも止めよう」 「あははっ、確かにループしちゃうね。ありがとカズマ」 「違うよ!ハルが謝らなければループしないの!わかる!?」 「だーから、止めろってイロハ」 わーわー言うイロハにはいはいと言うカズマ。 本当に仲良しだ。 「そう言えば、2人はこんな森の奥まで何しに来たの?」 今日は休みで、しかもここは滅多に人が通らないような場所なんだと思う。 それなのにここで出会えたなんて不思議すぎる。 「あぁ、あのね!おれたち予定より早くこっち着いちゃって暇で暇でね? そしたらこの学校、噴水の数すごいじゃん! だから何個あるのかなーってやってた!」 「こいつ昨日1人で探し回ってたから、今日は俺も一緒にやってるんだ。 1人で行動するなって言ってるのに…ったく……」 「そうだったんだ。 それで…この学園って、噴水いくつあるの……!?」 (実はそれ俺も気になってた……!) 「わ、もしかしてハルも気になってた!? えーっと…この噴水で11個目だったかな。区切りよく10個かなぁって思ってたんだけど……もしかしたらまだあるのかも!」 「11!? そんなにあるんだ……」 (水道代無駄すぎるだろ、電気代も…) 普通あってもメインのでかい奴と裏庭とかにあるサブ的存在のやつで計2個くらいが一般的だと思う。 なのに11って、まじか…… 「ハルは?どうしてここにいたの?」 「僕も早く屋敷出たせいで暇で…… 折角だし校内の何処に何があるか知っとこうと思って歩いてたんだよね、そしたら偶然ここに着いて」 「え、1人で……?」 「ん? うん」 「危ないよ!!」 「ぇ」 がおー!っとイロハに怒られてビックリする。 「こんな奥まで1人で来ちゃうのは本当に危ないんだから! ってか校内を1人で行動するのは絶対ダメ!もし何かあったらどうするの!? ……ってあいたっ!」 「お前が言うな…昨日1人だったくせに……」 はぁぁぁ、とカズマがポカッと頭を叩いて俺を見た。 「でも本気で気をつけろ。この学校の特色知ってるだろ? 1人だともしかしたら襲われることだってあるかもしれないし、〝小鳥遊〟だからって変に寄ってくる奴もいるかもしれない」 「ハル外見とか気にしたことある? すっごい綺麗で可愛いんだし、本当に危ないよ! それに、体調面だって今は平気かもしれないけど急に熱出ちゃったり調子が悪くなっちゃうかもしれないでしょ!? だからねっ?」 (すごい……何か父さんと母さんみたいだ) 勢いよく心配されて、本気でポカーンとなってしまう。 「ぅ、うんわかったっ、2人とも有難う」 「本当に? 本当にわかった? もう1人で行動しない?」 「どっか行きたい時とかは俺たちと行かないか? 全然付き合うし」 「そうだよ、なんだし! 何でも言って!!」 〝友だち〟 (そっか、友だちなんだ) ハルの、初めての友だち。 家から出れないハルの、一番初めの友だち。 「……っ、うん、ありがとっ」 初めての友だちが2人で良かったなぁと、心から笑った。

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