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3日前と、明らかに様子が違う。
(一体、何があったんだ……?)
呆然と靴を脱ぎ、そのままテーブルへ行くと。
「な……」
テーブルにはサラダから果物から細々したものがずらりと並んでいて、綺麗なテーブルクロスや食器で彩られていた。
(これ、全部こいつがやったのか!?)
「ん? 佐古くんどうしたの? 椅子に座ってねー」
はい、これ佐古くんのシチュー!
ドン!と目の前に出されたのを見て、また呆然とする。
(なっ、こ、これは……っ!)
赤色の、何とも可愛らしい食器。
淵には花が描かれている。
こ、この花は……
ちゅー、りっぷ…だと……?
「ふふっ、そんなに食器見つめて…気に入ってくれたの?」
「は……?」
「佐古くん髪が赤いから赤色好きなのかなぁって思ってて、赤い食器探してたらそれ見つけたんだよね。あ、ほら!僕のは色違いなんだよ!佐古くんのはチューリップだけど僕のは桜!ハルだしねっ」
あははっ、とそいつはすごく楽しそう。
俺が、これで食うのか……?
この外見の俺が、こんなチューリップのついたファンシーな皿で、食うのか?
「………っ」
(馬鹿に、すんなよ)
「…おい、誰がこんな食器買えっつった」
「ん?」
「大体、俺はお前と飯なんざ食いたくもねeーー」
「んんんー??」
(……っ! だ、から何か黒いもん見えんだって)
黒い逆らえない笑顔に、何も言えなくなる。
こいつこんな奴だったのか!?
そいつは黒い笑顔のまま、ニコニコと自分のシチューも注いだ。
「よしっ、食べよっか」
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