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「僕のこと細くてひょろひょろで、弱そうだなぁって見てた……?」
「っ、いや、その」
静かに、ポツリと訊かれ返答に困る。
確かに、俺は今細せぇなって、折れそうだと見ていた。
俺が力を入れたらポッキリいってしまいそうだとか、そんな事を考えていた。
キュッと、そいつの手が蛇口をひねって水を止めて
シィ…ン……と静かになる。
ポツリ
「馬鹿に、しないでほしいかな」
「は…?」
ゆっくりと顔が上がり、俺と目が合う。
「……っ」
静かだ、でも意志の強い。
そんな目でキッと睨まれた。
「確かに、僕は生まれた時から体が弱かった。毎日毎日ベッドの上にいて、外に出してはもらえなかった。
それでも、僕はいつも闘ってたんだ、自分自身と」
ポツリ、ポツリと、そいつの口から言葉が漏れる。
「僕は、確かに弱い。みんなと同じスピードでも歩けないし、走れないし。みんなが食べてるものもちゃんと考えて食べないと体調を崩すかもしれない。気温の変化とかにも敏感で……
ーーでも、僕は負けない。僕自身に、絶対に」
(っ、目が…そらせねぇ……)
じぃっと、静かに、強く睨むように見つめられる。
「僕は、君より弱い。でも、君より強い。絶対に」
「っ、」
まるで蛇に睨まれたカエルのように、体が固まって、動けなくてーー
「……さ、残り片づけちゃおうか」
ニコッと笑って、こいつはキュッとまた蛇口を捻って水を出し始めた。
カチャカチャと食器の擦れる音がして、さっきの時間が戻ってくる。
(な、何なんだ、一体……)
今起こった出来事は、何だ?
「はい、このお皿で最後だよっ」
ニコニコと普通に戻ったこいつから食器を渡され、半ば呆然と濯いでカゴに置く。
「あ、そうだ。
佐古くんって朝ごはんはご飯派?それともパン派?」
「ご、ご飯派……」
「そうだっんだ!だから前はサンドイッチ食べてなかったんだねー。じゃぁお米研いどこうかな。明日からまた外行くんだよね? 朝ごはん食べて行って?」
僕お米研いでから寝るから、先に部屋戻ってていいよー。片付け手伝ってくれて有難う!
「おやすみなさい」と言われ、再びキッチンに立つそいつの背中を見ながらも、足は部屋へと進んで行った。
「あ、そうだ」
シャカシャカ米を研いでた手が止まる。
「次、いつ帰ってくるっ?」
振り向いて、真っ直ぐ俺をみて質問されて
「っ、明後日」
(しまった、)
その目から逃げるように、咄嗟に明後日と言ってしまった。
本当は3、4日後にしようと思ったのに……
「そっか!じゃぁまたご飯作って待ってるね?」
早めに帰っておいでね〜。
そう言って優しく笑うそいつから逃げるように、
俺はパタンと早くドアを閉めた。
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