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sideアキ: 入学式と婚約者 1
(び、びっくりした……)
あんなに大勢の人たちに注目されるのは初めてで、本当にどうしていいかわからなかった。
でも、佐古がスッと前に出てくれて…
(有難い、なぁ……)
ハルもきっとハル驚くと思うから、ハルにもそうしてくれますように。
「にしても、ハルやっぱ頭いいんだねー!」
「え?」
「だってAクラスだもん!
中学でもそうだったけど、Aクラスは成績上位者のみの選抜組で、その他のクラスは全部成績が均等になるように作られてるんだよー!」
「そうだったんだ」
(確か屋敷出るちょっと前にハルが何か解いてたような…あれがテストだったのか)
幸い俺たちは双子だし頭の出来も同じ。
ハルの成績は多分そのまま俺の成績なわけで、だから学業に関しては問題ないはず。
「佐古くんもやっぱり頭いいなぁー!あー本当におれ勉強頑張ってよかったぁ!」
「入学試験前俺に泣きついてきたもんな。頑張った甲斐があったな、イロハ」
「なっ、ちょっとそれここで言うの!? いーじゃん結果オーライなんだからさー!」
「はいはい、次はハルとか佐古にも教えてもらえよ。俺一人じゃどうも手が足りなくて…」
「えぇぇ、おれそんなに手かかる!? カズマほんっと酷い! いーもん今回からおれには佐古先生とハル先生がいるから! ねっ!?」
「は?誰が教えるかよ」
「いや、僕も教えるの苦手かも……」
「えぇー!?」
そんなことを笑いながら話してたら、もう教室のドアまで着いて。
「ここが、Aクラス……」
下駄箱から1番遠い、端っこのクラス。
(緊張、するかも)
クラスメイトと、仲よくなれるかな……
「大丈夫だ、ハル」
「っ、カズマ…」
振り返ると、カズマが優しく笑っていた。
その隣で、仏頂面の佐古も小さく頷いてくれる。
「……っ、うん」
大丈夫だ、きっと。
「ふふっ、じゃぁ開けるよー? せーの!」
隣のイロハがガラッ!と元気よくドアを開ける。
途端に浴びせられる視線、静まる教室。
「……っ」
(大丈夫、大丈夫)
笑って、前を向いて。
「ぉはよう……っ」
少し、声は震えちゃったけど
ーー挨拶から、はじめましょう。
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