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「ーー静かに」
キャーキャーうるさい体育館に、凛とした声が響いた。
と
(っ、………凄い……)
あんなにうるさかった生徒たちがピタッと鎮まって
体育館が一気にシィ…ンとした緊張感に包まれた。
誰もが動かず、一時もその人の声や動きを見逃すまいと一心に前を見つめている。
(凄いな、あんなうるさかった全校生徒を一声って……
これも会長様の実力、なのか………?)
一体、どんな人なんだろう。
キョロキョロと周りを見ていた顔を、スイッと前に向けた。
「ーーーーっ」
それは、綺麗な〝黒〟だった。
漆黒の髪。
声と共に凛としている顔、表情。
力強い目。
そして、圧倒的な存在感。
(………目が)
目が、そらせない。
それくらいに〝輝いてる〟人だった。
(こ、れは…早々に会長の座を譲った先輩の気持ちが分かるな……)
確かに、こんなのが後輩にいたらやり辛いだろう。
お家の権力とか、そんな感じの我儘お坊ちゃんな奴だと勝手に想像してた。
(ごめん、会長様)
普通…いや、それ以上に……凛々しい奴だった。
俺ら生徒からしたら、そりゃ高嶺の花だな。
キャーキャー騒ぐ気持ちも……ちょっとだけ分かる気がする(ちょっとだけだぞ!)
ヒソヒソ……
「ふふふ、ハルも見とれちゃってる」
「ぇっ、や、これは……っ」
「うんうん、分かるよー。あの方の存在感と美貌は本当に凄いよねぇ。パーティ慣れしてるおれたちでさえこうなっちゃうレベルだもん。
……って、あっ、おれあの人あの人って言っちゃってるね、ごめん!
えっとね、会長様の名前はーー」
『それでは、生徒会を代表して、生徒会長に挨拶していただきます。
生徒会長ーー』
「『龍ヶ崎 レイヤ』」
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