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「こんにちわー!」
「こ、こんにちは」
「御三方、食堂を使われるのは初めてですよね? お待ちしておりました」
ウェイターさんがペコリと挨拶した。
「丸雛様・矢野元様は中学部食堂と変わりがありませんので、そのままいつも通りにご利用くださいませ」
「メニューはこちらでございます」とイロハとカズマの前に、緑色のメニュー表が置かれる。
「さて、小鳥遊様は今回が初めての食堂ですが、仕組み等は丸雛様方よりお話があるかと思いますので割愛させていただきますね。
小鳥遊様のメニューは、こちらでございます」
「あお…いろ?」
「はい。小鳥遊様のメニュー表のみ、青色とさせていただきました。担任の梅谷先生より食事に関する共有を頂き、少しでもお体に良いものをとコックが考えたメニューです」
(え、梅谷先生が……?)
あの、放課後ヒアリングされた時だろうか。
「さっすが梅ちゃん先生!やる事早いー!!」
「後でお礼言わなきゃな、ハル」
「うんっ」
本当、気遣いが有難い。
「それでは失礼します」とウェイターさんが下がり、改めてハル専用のメニュー表を開いてみる。
「うわぁ…すごい……!」
(ぇ、全部美味しそう!!これ全部食べられるのか…!?)
全部が全部キラキラして見えるくらい写真が綺麗に撮られてて、しっかりと使われてる食材・何グラム使用なのか・どういう調理法で料理したのか・カロリーや栄養素等が事細かに記載されていた。
(凄い…これ、ハル絶対喜ぶ………)
『え!この中から選べるの!?僕も食べたことないものいっぱいあるよ、コックさん凄いねぇアキ!!』
そんなハルの声が今にも聞こえてきそう。
(早く、ハルにも見せてあげたいなぁ…………)
「ーー? ールっ、ハル、決めた?」
「ぁ、ごめっ、まだ……」
「もーこれから何回も来るんだし、早く頼んでしまおうよ! おれもうお腹すいたぁー!」
「クスクスッ、ごめん」
笑いながらもっかいメニューを見て、ふと手が止まる。
(あ、そっか。
ーー俺は今ハルだから、俺がメニューを決めていいんだ……)
「………っ」
夢…みたい……
自分で好きなものを選べて、自分でそれを食べれるなんて。
(そんなの…初めてだ………っ)
今のハルの代わりに学園にいるこの状況も、十分夢みたいな話なんだけど。
いつもいつも、ハルの食べたい物が並ぶテーブル。
俺の食べたい物なんて、聞かれたことは一度も無くて…
「……っ、僕、今日はこれにするっ!」
初めて自分で決めたメニューに
少し、声がかすれてしまった。
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