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(あ、俺これ知ってる)
ザワザワ!!
『ねぇ見て、会長様だ!!』
『本当だ…今日ラッキーだよ!どうしよう!』
『食堂来て良かった……』
今まで俺たちに向けられていた視線が、ギュン!っと一気に別方向へいく。
「生徒会長か…ある意味会長様に感謝だな」
「そうだね、これでゆっくり食事できるや」
「うんうん、にしても珍しいなぁ!あんまり食堂には来られないのに……」
まぁいいや、取り敢えず食べよー!!
(何か、あいつが来たおかげでさっきのもうやむやになってくれたみたいだし、本当ラッキーだ…これでやっと食事に集中できる!)
あぁー……幸せ。
あいつの事は嫌いだけど、今はある意味感謝だnーー
「おい」
「ーーへ?」
今、すぐ後ろから、聞こえた……?
ザワザワという周りの声が、大きくなっている。
それでも、その人の声は本当によく響いて。
「おいっつってんだろうが、聞こえねぇのか」
「…………」
この、声は。
「っ、ハ、ハル…っ……」
イロハが固まってる。
カズマも、俺の後ろを凝視したままカチンと動かない。
(………これは、振り向くしかないか……)
ゆっくりと、声のする方へ振り向く。
「……ほおぅ」
「…………」
見上げると、綺麗に整った顔が俺を見下ろしていた。
「………」
「………」
そのまま、お互い静かにじぃぃぃ…っと睨みあう (見つめあってるんじゃないぞ!?)
周りにもその静かさが伝わったみたいで、食堂全体が一気にシーンとした緊張感に包まれて。
みんなが俺とこいつのひとつひとつの動作を逃すまいと見ていて、そんな視線がグサグサと刺さる。
「…………おい」
「……?」
「てめぇ、俺に挨拶も無しに何してんだ」
(は、挨拶…?)
「てめぇが会いに来ねぇから俺から来てやったんだろうが。
感謝しろ」
………は?
(え、何、どういう事?)
何の挨拶?俺なんかした??
「はぁぁぁ、お前分かってねぇのか」
「?」
面倒くせぇ…というように大げさな溜息をつく会長様。
「顔合わせの時お前の両親だけ挨拶に来といてお前は来なかっただろうが。此処に来てからも一向に来ねぇし、常識ねぇのか?」
「………あ」
何だ、そういう事。
(婚約の話するとき父さんと母さんだけで行ってたもんな。そうか、ハルが顔見せに行かなかった事に怒ってるのか)
「ぇ、ちょっ、ハル…どういう事………?」
固まってたイロハにちょいちょいと服を引っ張られた。
「あ? ……んだ、お前まだ周りに言ってねぇのか」
ニヤリ、と会長様が不敵に笑う。
そのまま、見せつけるように俺の肩へ手を回して立たせられ、会長様の方へ引き寄せられた。
「こいつは。
ーー小鳥遊 ハルは、俺の〝婚約者〟だ」
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