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脱ぎ脱ぎとケイスケがパーカーを脱いで、水着だけになる。
「私もお邪魔していいですか?」
「……はぁぁー全くお前は………
…ったく、それ目的で来たんだろ。プールは俺のじゃないし、好きにすれば?」
「ふふふ、ではお邪魔します」
恐る恐るという様に、ケイスケがゆっくりとプールへ入ってきた。
チャプ……
「まだ冷たいですね…っ」
ふるりと体が震えている。
(はぁー、ったく)
肩まで全部浸かって寒そうに目を閉じているケイスケを、後ろからゆっくりと抱きしめてやった。
「っ、…あったかい……っ」
「嘘つけ、俺の身体だってもう冷たいだろ」
それでも安心したように身体を委ねて、ケイスケはほぉ…っと身体の力を抜いていく。
「気持ちいいですね……」
「夏もすぐそこだからな」
「ふふふ、そうですね。 いつもいつも本当にお疲れ様です。リラックス出来てます?」
「ぼちぼちだな。本当今年は忙しすぎて死にそうだ」
「クスクスッ、それでも全く手を抜かずしっかりと生徒に向き合っている貴方が、私は誇らしいですよ」
ケイスケの腹へ回してる俺の手に、ケイスケが自分の手を重ねた。
「本当に、いつもいつもお疲れ様です。シュントさん」
(……嗚呼)
冷たくて、でもとてもいい温度の水の中。
腕の中には愛おしい恋人がいて。
その優しい声が、すぐ近くから聞こえてきて。
(落ち着くな………)
ケイスケも全く動かず、素直に俺に身を預けている。
そのまま目を閉じて、動かずに
ただじっと、互いの体温を静かに感じ取っていた。
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