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side「 」: 窓から外の景色を眺める
綺麗な綺麗な朝日が昇る、月曜日の早朝。
外から、バタンと車のドアが閉まる音がする。
見送る人は、誰もいない。
それは、とてもとても……本当に静かな朝で。
そんな中、静かに車のエンジンがかかり一台の車がゆっくりと屋敷を出て行く。
車はどんどん、どんどん遠ざかっていって
いつしか、見えなくなってしまった。
その風景をそっと窓から眺めて。
「…………………」
手元にある貰った手作りの学園の見取り図を、シワにならない様にギュッと握りしめる。
『ーーー、ーーーー』
『ーー?、ぁーー、ーーー』
部屋のドアの前から、知ってる話し声が聞こえてきた。
『ーーアキの報告だと、ハルを学園へ行かせるのはまだまだ先になりそうね。
全く…何をゆっくりしているのかしら……』
『まぁまぁ、まだ2週間だしこれくらいだろう。あまり焦りすぎても変な誤解を生むだけだ。2週間で信頼できる友人や先生を作っただけ良いじゃないか』
『ふん、まぁ良いでしょう。レイヤくんが所属されている生徒会にも入る事が出来ている様だし。これからレイヤくんと深く関わっていくよう徹底したから、また2週間後の経過を見ましょう』
『生徒会か… これで嫌でもレイヤくんとご一緒しなければならないだろう。アキも良い処に入ったな』
『状況次第で、ハルを学園へ通わせる日を見極めていきましょう』
『そうだなーー』
その話し声は、段々と遠ざかっていって
再び、シィ…ンとした朝の静寂に包まれた。
「…………………」
その静かな部屋の中で
再び車が消えていった窓を眺める。
そうして、朝の支度の為召使いからドアを叩かれるまで
ずっとずっと、ただただ
窓の外を景色を眺めていたーー
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