90 / 533

2

「…………なっ」 な な ん だ 此 処 は 。 (……と、取り敢えず入らなきゃ) でも…足を置けばいいんだ……? 「…………」 パッとしゃがんで足元にあるプリントを適当に退けて、パタンと扉を閉める。 「…これは……」 今は4限目ということもあり、シーンと静まり返ってる部屋。 シャンデリアが煌びやかに輝いているけど、所々蜘蛛の巣が張ってるのが見える。 足元には沢山の書類たちがバサーッと落ちていて、その隙間から辛うじて床が赤い絨毯だとわかるくらい。 各机の上は、もう目も当てられない有様で。 (え、何? 強盗でも入った?) この有様は、一体……? 「…………とりあえず」 (自分の机がどれかわかんないんじゃ、業務出来ない……) それに、こんな汚い部屋初めて見た… 何なの? あいついっつもこんな部屋で仕事してんのか? ちょっとやばすぎだろ、少なくとも俺はこんな部屋には居たくない…… 「っ、くそ…掃除からとかまじか……」 (授業終わりまでどれくらい時間ある? …結構あるな) カチャッとドアの内鍵をかける。 (1人だし、今だけ〝俺〟になってもいいかな?) ハルの動くスピードでやってもいいけど、なるべく早めに終わらせてさっさと自分の仕事をしたい。 「っし、やるか!」 見てろ!あいつが来たらビックリするくらい綺麗にしてやる! 「ーーふぅ…こんなもんかな……」 机の上のプリントを整えて、床のプリントを全部拾って机に置いて、絨毯を綺麗にして窓と机を拭き上げて、本棚も片付けて、プリントを整理して…… 「シャンデリアは流石に無理だなぁ…あいつが来たら頼むか」 (それくらい手伝わせよう。うん) 「しっかし広い部屋だなー……」 綺麗になった生徒会室を改めて見回すと、かなり広い。 (しかもキッチンに仮眠室にシャワールームに……下手したら住めるだろ此処) やばいな生徒会室。 「この机があいつのかな?」 1番中央の、座りやすそうな椅子がある机を撫でる。 「で、その隣にある如何にも〝くっつけましたー〟的な机が…俺のかな?」 (なんか腹たつぞこれ) くっつけたくないな。離しとこう、うんうん。 俺の机にも日にちの新しいプリントが何枚か置かれていて、恐らくあいつが俺にさせようとした仕事なんだと思う。 「ふーん、これをすればいいのか。時間は…まだもうちょっとある」 (十分) これくらいの量ならすぐ終わる。 「これ終わらせたらイロハ達と学食か……おし、がんばろ!」

ともだちにシェアしよう!