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「小鳥遊様、始めに紹介させてください。
この子は今回小鳥遊様の親衛隊副隊長を務める星野 タイラと申します。
小鳥遊様と同じ1年生で、クラスは小鳥遊様の隣です」
「は、初めまして小鳥遊様!今回小鳥遊様親衛隊副隊長に任命されました、星野と申します!何か御用がありましたらいつでもお申し付けください!!」
元気よく挨拶して、星野くんはガバッと勢いよくお辞儀した。
(クスッ、何か可愛いな)
一生懸命な小動物みたい…柴犬的な………
「ふふふっ、星野くん頭上げて?
こちらこそ、今回は僕の親衛隊副隊長になってくれて有難う。隣のクラスなんだね、これからよろしくねっ」
ニコッと微笑むと、途端にぼわわわっと赤くなる顔。
「そ、そんな、お礼なんて…! ぁの、えぇっと……!」
(あ、うん、可愛い)
ニコニコと笑ってじぃーっと見つめると、段々涙目になって「えーと、えーとぉ…っ」としどろもどろになる星野くんまじでやばすぎ。
「クスクス。小鳥遊様、あまり星野をいじめないであげてください。 星野も、もっと堂々としていなさい。折角副隊長に任命されているんですよ」
「ぁっ、ご、ごめんなさい…!」
「えへへー、御免なさい月森先輩」
あぁ、これは多分ハルも相当いじめるだろうなぁ……
だってもう眼に浮かぶもん、満面の笑みでいじめまくるハルが。
これは…俺が耐性付けてあげとかないといけないよな? うんうん。
(おし、これからいっぱいいじめて困らせよう)
その方が絶対可愛いし面白いと思う。
「ふふふ。星野は中流階級の家ですが、とても誠実でしっかりした者ですので、ご安心くださいね」
「はいっ、有難う御座います先輩」
「クスリ、いいえ。
ーーそれでは、改めて話し合いを始めます。
先ずは本来の親衛隊のルールに関してご説明してまいりましょう」
親衛隊は、隊に入隊するとそのお方お1人を全力でお慕いしなければいけない。
他の親衛隊が近づくことがあれば、直ぐに排除する。
身の回りの世話は勿論、呼ばれたら直ぐに駆け付けお助けするのが役目である。
その他、そのお方が過ごしやすい環境を提供すべく陰ながら動き、支え、危害を加える事なく遠くから静かに見守る…というもの。
「ーー以上が基本的な親衛隊のルールですが、如何でしょうか?」
(成る程……)
「〝遠くから見守る〟というのは、実際に親衛隊の方々はお慕いしてる方と直接お会いすることを許されてないのですか?」
「そこは隊によって異なりますね。
お慕いしてる方と触れ合う事を一切許していない隊もあれば、月に一度〝お茶会〟というものを開き、お慕いしている方と一緒にお茶を楽しむ時間を設けている隊も御座います」
「月に一度……」
(少ないな)
ここは変えるべきだ。
あともう1点変えときたいな……
ーーーーよし。
「分かりました。それでは、大きく2点ルールの変更を行わせて頂きたいのですが、よろしいでしょうか?」
「えぇ、勿論。これは小鳥遊様の隊ですので、小鳥遊様の意見を最優先させて頂きます。お気軽に仰ってくださいませ」
「星野、メモを」と先輩が指示して、俺の意見を促す。
「有難う御座いますっ! それでは先ず1点目ですが、
ーー僕の隊は〝他の親衛隊との掛け持ちをOK〟にしていただけませんか?」
「「…………は?」」
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