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「掛け持ちをOK…ですか……?」 「そ、そんなの聞いたこと無いです…僕……」 ビックリしてる2人にふふふと微笑んだ。 「僕、来るもの拒まずな隊を作りたいんですっ」 「それは、どういう意味でしょうか……?」 「お2人は既にご存知でしょうが、僕は今まで一度もパーティーに出席したことがありません。学園の皆んなは顔馴染みでも僕は全然皆んなを知らなくて…だから、もっと多くの人と触れ合ってみたいんです。 それに、イロハやカズマから学園での〝小鳥遊〟の立ち位置について聞きました。僕と話したい人・知り合いになりたい人が、沢山いる。でも、その人たちが他の隊に入っていた場合、出会うことはきっと難しい。それは勿体無いなぁと思うんです。 だから、僕の隊は掛け持ちをOKにして、少しでも僕に興味がある人は受け入れて欲しいんです」 〝小鳥遊〟のコネは、喉から手が出る程欲しい存在。 (それを、上手く使えばいい) 「如何でしょうか…?」と先輩を見ると、顎に手をあてて難しい顔をしている。 「成る程……要するに、小鳥遊様は〝ご自身がパーティーに参加した事が無いので、その分を自分の隊を通じて補っていきたい〟という事ですね?」 「そうです」 「ふむ…… 仮に隊を掛け持ちOKとして、具体的には何をされるのでしょうか?」 「さっき先輩が仰っていた〝お茶会〟を、2週間に一度開催へ変更させてください。 これが2つ目の変更点です」 週1だとハルにとっては辛いものがあるかもしれない。 2週間に一度のペースだと俺が実家に帰るペースと同じくらいだし、きっと大丈夫。 「お茶会を2週間に一度ですか………成る程……」 再び静かに考え始める先輩。 「どうでしょうか……?」 「ぼ、僕は反対です…!」 忙しなくメモを取っていた星野くんが震えながらバッ!と手を挙げた。 「たっ、小鳥遊様は自分を安売りし過ぎですっ! 掛け持ちOKやお茶会の開催頻度など…もっとご自身を大切になさってください!! それにっ、僕は掛け持ちをする方々と一緒に活動したくはありません……!純粋に小鳥遊様をお慕いして入っていている皆んなも、同じ事を思うはずです!」 「……小鳥遊様、僭越ながら私も星野の意見に同意です。 きっと、掛け持ちしているメンバーと純粋に小鳥遊様の隊にしか所属していないメンバーで二極化してしまい、隊の中でいざこざが起きる事が予想されます。 その事を考えると、お茶会の頻度は置いておいて、掛け持ちに関してはかなり厳しいかと……」 (うん、そう言われると思ったよ) 「いいえっ。難しくはありません先輩、星野くん。 掛け持ちのメンバーには、ある制約を付けて入隊を許可してください」 「制約…ですか……?」 「一体どんな……」 「ふふふ、制約は2つです」 まず1つ目。 掛け持ちのメンバーは、小鳥遊親衛隊のミーティング等の話し合いには絶対に参加できないし、意見も出すこともできない。 あくまで〝席があるだけ〟という極めて簡単な扱いをする事。 そして、小鳥遊親衛隊にしか所属していない純粋なメンバーからの指示には、必ず従う事。 「そんなに厳しい指示は与えないようにしてください。あくまで彼らの本業は他の親衛隊です。ですので、負荷にならないような簡単な指示のみを行うようにしてください」 そして2つ目。 純粋に小鳥遊親衛隊にしか入っていないメンバーは4つの組に分け、順番にその組その組でお茶会の出席を回して行く。 「お茶会は2週間に一度行われるので、要するに純粋なメンバーは2ヶ月に1回は僕に会えるという計算です」 しかし、掛け持ちのメンバーは〝くじ引き〟で抽選が行われ、それに当たった者しか参加する事は出来ない、という事にする。 「掛け持ちメンバーの参加人数も、純粋なメンバーより少なくします。例えば、純粋なメンバーが30人参加だとすると、掛け持ちメンバーは15人のみ参加可能です。 ……というように差別化を行いたいのですが、如何でしょうか?」

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