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sideレイヤ: 苛々する 1

嗚呼、苛々する。 (そんなに内側が大事かよ) 外側で判断してきた俺の生き方を真っ向から否定されたような気がして、正直腹がたった。 目の前にある細い腕を引っ張って無理やり俺の机に寝かしつけ、乱暴にシャツへ手をかける。 バチバチバチ!!と綺麗に飛んで行くボタン。 あいつは何が起こったかわかってないのか、されるがまま無抵抗だ。 顔は、髪の毛に隠れて見えない。 「中身を知るにはまず身体からってなぁ、小鳥遊」 (はっ、楽勝だな) 達者なのは口だけか。 ま、所詮はこの華奢で病弱な身体じゃ何にもできねぇよ。 そのままシャツを開く。 「ーーっ」 (こ、れは………) 出てきたのは、真っ白な肌。 ただの真っ白じゃなく、雪のように純粋で…消えそうなくらいに美しい肌。 それと同じように、消えそうなくらいに細い身体。 ゴクリ… (こ、こんなの見たことねぇ……) 今まで何人か抱いたことはある。 だが、それの誰よりも華奢で、綺麗で、純粋で。 (触ったら、消えちまいそうだ……) それくらいに、儚い身体だった。 「………っ」 (俺は、何を怖気づいている) この俺が、素肌を見ただけで怖気づくだと? 龍ヶ崎の名が聞いて呆れる。 (きっと、大事に育てられてきたんだ) 幼い頃から病弱で、親の愛情を存分に受けて家から出されずに育てられたのだろう。 恐らく……まだ、誰にも触られてない身体。 (1番に触れるのは、俺か) 嗚呼、いいなそれ。 まぁ俺はこいつの婚約者だからな。 当然か。 ゆっくりと、静かにこいつの身体へ手を伸ばす。 と ポツリ 「貴方は、〝人間〟ですか?」

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