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sideアキ: いってらっしゃい。

「会長…会長、起きてください」 2時間後って言われたけど、ギリギリはやばいかなと思って結局約束時間の15分前に起こした。 「かーいーちょー。ほら、時間ですよー」 「………ん…あぁ……」 「ほら、起きてくださいっ」 「ぉー………」 「え、会長…? ちょっと、瞼閉じないで。起きて起きて。起きてくださいよっ!」 (は!? 何でまた目閉じるんだよ、おーきーろー!) 会長意外と寝起き悪いな!まじか!! 「会長っ、ほらっ」 「あぁ~うっせぇなぁ………」 「なっ」 「わーってるよ…起きる……」 粘りに粘ってやっっっと、ダラダラと起き上がってくれた。 「はい、おはようございます」 「……おぉ」 (え、何か可愛いんだけど、何なのこれ) なんて言うんだっけこういうの……ギャップ? 寝起きの会長はかなり幼く見える。 「お水持って来ますから、飲んでくださいっ」 「……ん」 ぽけーってしてる会長に取り敢えず水を飲ませて、話しかけて話しかけてようやく覚醒まで持っていく。 「クワァァ…お前、結局計画は立ったか?」 「立ちましたよ、ほら」 (多分、今回の変更点は完璧に補てるはず……) 終了予定時間も変更前と変わってないし…… 「……っ、クククッ」 「…………へ?」 「っ、ククッ、あははははっ!」 (ぇ、何で笑われるんだ?) 俺今回結構頑張ったぞ!? 「ははっ、いや、俺の予想通りだ」 会長はスルッと立ち上がって、俺の頭を計画表のプリントでパサリと撫でた。 「ーー完璧だ。よくやった」 「っ、ぇ……」 あの俺様が、人を褒めた………? 「後は俺がこれ通りに生徒を動かすから」 「じゃぁな」というようにプリントをひらひらさせ、扉の方へ歩いていく。 (あぁ、そっか…) 俺の仕事って、これで終わりなんだ…… あの人が出ていったら、俺はまたこの静かな部屋にひとりぼっちで。 やることも、もう何も無くて。 俺の…ハルの体育大会って、こんなんで終わっちゃうのか? (ーー嫌だ) そんなの、寂しいよ…… クイッ 「……ん?」 「…………」 嫌だと思った瞬間、体が勝手に動いて会長の体操服を引っ張っていた。 「どうした」 「…ゃ、ぁの………っ」 (ど、うしよう……) 手を、離さないといけない。 この後会長はまだ出ないといけない種目が残ってて、もうその時間も迫っている。 でも、この手を離したら俺は…また1人になってしまう。 「ぇと……ぇ、と………っ」 離さないと、迷惑がかかる。 現に今もうかかってて、怖くて怖くて会長の顔が見れずに下を向く。 「おい、小鳥遊?」 「…………っ」 (や、ばい……) 頭が、どんどん真っ白になってしまう。 この手を離さないといけないのに、でもできなくて、でもしなきゃいけなくて、でも、でも (ぁ、どうしよ…っ) フワリ 「っえ……?」 「ーー大丈夫だ」 頭を、会長の大きな手が撫でてくれてる。 驚いて顔をあげると、笑ってる会長がいた。 「ははっ、ひでぇ顔」 「っ、なっ」 そのままぐしゃぐしゃぐしゃっ!と髪をかき混ぜられる。 「わ、ちょっ、会長っ!」 「はははっ、鳥の巣みてぇになってんぞ」 「っ、誰のせいですか!」 「クククッ、元気でたか」 (あ…………) 「1時間後」 「へ?」 「1時間後に、ここに戻る。それまでお茶でも飲んで待っとけ」 「え、1時間後…って……」 俺が立てた計画表は2時間で終わる予定のもの。 それに、今からまだ種目が残ってるから、後30分くらい体育大会がある。 恐らく全てが終わるまでに2時間半くらいは最低でもかかるはずだ。 「はっ、この俺が後片付けなんざにそんな時間かけっかよ。この計画表があれば、直ぐに終わる」 だから待っとけ。 「じゃぁ、行ってくっから」 「ぁっ、い、いってらっしゃい……!」 ポンっと優しく頭をたたかれ、会長はパタンっと出ていった。 「…………っ」 (会長、俺が何で服掴んだのか、わかったのかな……) 「……っ、ははっ、どうしたんだろ会長っ」 (変なものでも食べたかな?) 本当、びっくりする。 「~~~~っ」 心の中に、じんわり温かいものが広がった。 どうやら、ハルとアキの体育大会はもう少しだけ終わらないようです。

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