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「ーーん。ここだな」
「はぁ…はぁ……っ、ここ………?」
(疲れたぁ…何処だここは…… サッカー部の部室?)
「おい、紙とペンを用意しろ」
「は、はぃっ」
「今から起こる事全部メモしていけ、いいな」
「わかりました」
チラリと俺がメモの用意をするのを確認して、会長はガラッ!!と思いっきり部室のドアを開けた。
「おい、生徒会だ」
「っ! な、なんで会長がここに……っ」
「あぁ?なんでだと…? んなもんてめぇらが1番わかってんだろうが。
おい、グラウンドで練習してる奴らも全員ここに集めやがれ。1分時間をやる」
ドタッと近くのパイプイスに座って、部員を睨みつける会長。
「……おい、早くしろよ。俺は気が長い方じゃねぇ」
「っ、ひぃぃ……っ」
バタバタバタッ!と急いで出て行き「集合ー!!」という声が響き渡った。
(こ、これは…なんかやばそうな雰囲気………)
「ぜ、全員集まりました!」
「そうかご苦労。 ーーおい、てめぇら」
「は、はぃっ」
「今回の領収と報告書書いた奴は、誰だ」
「お、俺たちです……っ」
バッ!と素早く3人が立ち上がる。
「お前らか…… おい、何だこの書類は。
ーーどうして虚偽の報告書を提出している?」
「っ、え…………?」
(虚偽…嘘の報告書、だと……?)
「っ、そ、それは…」
ダンッ!!
「ひっ!」
「……おい、早く言え。俺は気が長げぇ方じゃねぇって何度も言ってんだろうが」
「っ…そ、その……新しいボールがっ、欲しくて……」
「あぁ? それは最近買い換えたばっかだろうが。何で短期間に買い換えてる?」
「し、新作のデザインがカッコ良くてーー」
ダンッ!!
「ひぃぃっ!」
「デザインが、かっこいいだぁ……? んなもん練習してたらボールの模様なんざ剥がれ落ちるだろうが。何言ってんだてめぇら。
それに、競技のルール変更でボールの重さが変わったとかならまだわかるが、たかだか模様1つで買い換えただと?
お前ら、自分たちが何したのかわかってんのか……?」
「だ、だからっ、嘘の申請を生徒会に提出しtーー」
バンッ!
グイッ!!
「っ、会長!」
(殴るのは駄目だ!)
胸ぐらを掴み始めて、思わず後ろから叫ぶ。
「………っ、チッ」
パッと手を会長が手を離せば、ドサッと崩れ落ちる青い顔。、
「ーーおい」
「っ、は、はぃ……!」
「3日やる。3日で領収と報告書を再提出しろ」
「は、はぃ…っ!」
「提出できるまで部活動は中止だ。他の奴らも全員総出で書類を作りやがれ。 ーーいいな」
「「「「はいっ!!」」」」
「………チッ。
おい、次行くぞ」
「ぁ、はぃっ」
そのまま、外の部活動をひとつひとつ周っては領収書と報告書に関しての尋問を繰り返した。
(ぁ、ちょっとやばい、かも……)
夏休み一歩手前の炎天下のグラウンドを、会長はイラついたようにガンガン歩いては怒鳴り散らして行く。
その歩くスピードに着いて行くのにも、メモをひとつひとつ取っていくのにも、もういっぱいいっぱいで。
「……っ、はぁっ」
(やば、)
ハルの体だったら、もうとっくに限界を過ぎてる。
今回は会長が凄い怒ってるから、俺自身で頑張って着いて来たけど。
「っ、会長……」
(流石に、限界………)
「あぁ? んだよ……
ーーおいっ」
思わずしゃがみこんでしまった俺の腕を、グイっと掴み上げられた。
「っ、すいませ……」
「…顔色が悪い。クソッ……」
そのまま横抱きにされて、グラウンドの日陰にあるベンチへ座らされる。
「はぁ…っ、はぁ……」
グイッと前髪をかき上げられて、首に手を当てられて。
「……ちょっと待ってろ」
そのまま、何処かへ行ってしまった。
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