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sideアキ: 春-ハル- と 秋-アキ-
〝名前を、呼んでもらえた〟
部屋に着いて、ドアを閉めた途端
そこに寄りかかるようにして崩れ落ちた。
「~~~~っ、」
堪えてた涙が、またポロポロと溢れてきて
漏れそうな嗚咽を、両手でなんとか抑え込む。
(名前を…呼んでっ、もらえた、)
『お前ってさ、春 より秋 って名前の方が、しっくりくるよな』
「~~っ、ふ」
(呼んで、くれたっ)
〝アキ〟と……
〝春〟ではなく〝秋〟だと、呼んでくれた。
それは、ちゃんとした自分の名前では、無いけれど。
(でもっ、でも………っ)
『いや、何かお前の〝内側〟って、
〝春〟というより〝秋〟っぽいよなって……』
(~~~~っ、成長しすぎだっ、馬鹿)
あんなに人の外側ばっか見てたくせに、なんでそんなに内側見れるようになってんだよ。
(気づかなくていいとこまで、気づきやがってっ)
ーーけど、
ポツリ
「ぅ、れし………っ」
ーーーー嬉しい。
〝ハル〟の中の〝俺〟に気づいてもらえて、嬉しい。
「っ、ふぇ、ぇ…ふ、ぅ」
(今日俺、泣いてばっかり)
レイヤの両親の前でも、泣いて。
レイヤの前でも、泣いて。
なのに、涙はまだ枯れなくて…ポロポロ溢れてくる。
「っ、も、充分、だ…っ」
(もう、充分)
さっきまでの噴水前の、あの出来事だけで、
俺……この先 一生、生きていける気がする。
「ーーぁりがとっ」
ありがとう、名前を呼んでくれて。
ハルの中の俺に、気づいてくれて。
(ほんっと、最後の最後まで驚かされっぱなしだ)
こんなに驚いたのは、あの花火以来かな?
(ねぇ、レイヤ)
俺さ、お前と出会えて良かったよ。
出会いは最悪だったけれど、
でもそんなのどうってことないくらいに未来は輝いていた。
輝きすぎて、暖かくて、離したくない程に。
(あぁ……)
どうか、これから先も、ずっとずっと輝いてて欲しい。
俺がお前の前からいなくなっても、気づけるくらいに。
「レイヤ……」
めいいっぱいの、思い出を
たくさんの、暖かさを
気づかなかった、感情を
「ありがとぅ…………っ」
ーーーーねぇ、愛してます。
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