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「好き、カズマのことが…好き、なんです……っ」
一度口に出せると、後はどんどん漏れてきて。
「ひっ…く、ぅええ……」
ボロボロ涙が溢れるけど、それでも絶対に目の前の顔から目を逸らさない。
ずっと ずぅっと…言いたかった。
臆病でごめん。怖がってごめん。
ねぇ お願い。
ぼくの想いは、
ーーまだ…間に合いますか……?
「お、そくなって…ごめんな、さーー」
(ぁ…………)
目を見開いてこちらを見ていたカズマの顔が、段々歪み始める。
そして、そのまま
「ーーーーっ、」
凄く嬉しそうに、幸せそうに、クシャリと笑った。
「カズ、マ…」
「………イロハ」
いつも一緒にいたのにこんな表情を見るのは初めてで、固まってしまったおれの手からスルリとカズマの両手が抜ける。
グイッ
「ゎ、」
その手に今度は自分の手を引かれ、ポスンと大きな肩に顔がぶつかった。
そのまま強く抱きしめられる。
「っ、カズ」
「…てた」
「ぇ?」
「ずっと、待ってた……っ」
「ーーっ! ぁ」
カズマに顔を埋められた首筋が、じんわり濡れる感触がする。
それが何なのかは、震える声からすぐに…想像できて。
「〜〜〜〜っ!! カズマぁっ!」
おれも、その背中に腕を回してぎゅぅっと強く抱きしめた。
この大きな背中が、これまでどれくらいぼくのことを守ってくれたんだろう?
一体どれくらい…我慢させてしまっていたんだろう?
(り、がと…ありがと……っ)
これからは、わたしもカズマを守っていきたい。
何があっても隣に居座って、支えていきたい。
共に、歩んでいきたいーー
「聞けるのは、まだ先かと思ってた……」
「へへ、ぼくだって男だもん。これが終わったら絶対言おうって、決めてた。
待っててくれて、ほんとにありがと」
「あぁ本当…待ちくたびれたな……」
体を離されてふわりと頬に手が添えられる。
すぐ近くには、赤い目で笑ってる幸せそうな顔。
「イロハ。俺もイロハが好きだ」
「っ、ぅん。おれも、カズマが好き…」
ゆっくりと顔が降りてきて、自然と瞼を閉じる。
そうして初めて触れ合った唇は
涙で、少しだけしょっぱい 幸せなキスの味だったーー
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